ISO14001とは
環境マネジメントシステムは、何を達成するためのものでしょうか。
それをとても分かりやすく示している良書があります。「Green to Gold」(企業に高収益をもたらす「環境マネジメント」戦略)です。 3M、BP、デル、デュポン、GE、イケア、インテル、フェデックス・キンコーズ、マクドナルド、コカ・コーラ、シェル石油などのベストプラクティスが紹介されており、環境マネジメントシステムに携わる方々には是非とも読んでいただきたい書籍です。その中で環境マネジメントの目的は次図のように示されています。
大別すると、環境を軸にビジネスを発展させる「チャンスの創出」と潜在的悪影響を回避する「リスクの低減」となります。
チャンスの創出はビジネスそのものなので大多数の企業は適切に対応しています。問題は、リスクの低減です。
環境リスクとは
ISO14001には、「汚染リスク」「リーガルリスク」「マーケットリスク」「レビュテーション(イメージ低下)リスク」などのリスクを顕在化し、予防的に低減するフレームワークが織り込まれています。
“ISO=文書・記録のペーパーワーク”ではありません。企業不祥事が命取りになりかねないこんな時代だからこそ、CSRを全うする本物の環境マネジメントが必要なのです。
環境方針でトップが社会(利害関係者)に向けて発している3つのコミットメントである、「汚染の予防、環境保護」「コンプライアンス」「継続的改善」を達成しましょう。
ISO14001で予防的に低減できるリスク
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汚染リスク
土壌地下水汚染・水質汚染・騒音障害などのいわゆる公害問題のリスク
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リーガルリスク
法令違反による操業/許可停止・罰金、法令改正への対応(排水基準強化に対応する排水処理施設増強、化学物質代替に伴う設備投資など)コスト増加を強いられるリスク
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マーケットリスク
取引先の調達基準、業界基準等による制約(ISOの認証取得、欧州関連化学物質規制など)により取引制限やコストアップを被るリスク
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レピュテーションリスク
不祥事後のトップの言動などの不適切な対応により企業に関する否定的な評価・評判が世間に周知され、信用やブランド価値が低下し、結果的に損失を被るリスク
レベルアップの視点
ISO14001に基づく環境マネジメントシステムをより有効なものへとレベルアップしていただくための視点をお伝えします。現役の主任審査員の目線としてご覧ください。
以上のような環境側面に着目し、それらによる環境への負荷をどのように低減するか、関連する法令をどのように順守するかを考え、システム(仕組み)としてそれらを改善することが環境マネジメントシステムです。