ぼうこうがん5人発症、福井の工場 訴え無視されたと発症従業員
■■ ESHの解決策
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2016.1.8 No.390
企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
本年も旧に倍してのご支援をよろしくお願いいたします。
今年は、昨年末に改定されたISO14001に加え、ISO45001(OHSMS)の発行が予定
されており、環境安全衛生(ESH/EHS/HSE)に携わる私たちにとっても大きな
変化の年になると考えられます。
ISO14001もISO45001もシステムだけでは不十分でパフォーマンスの向上が求め
られる時代です。
また、グローバル化が進展し、サプライヤー監査などESH/EHS/HSEへの要求が
ますます高まっている状況にあります。
本年もパフォーマンス向上とグローバル化に寄与する情報の提供に努めて参り
ますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。
2016年1月8日
編集長
環境ワークス株式会社
代表取締役 黒崎 由行
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■環境不祥事の教訓
◆有害物質の六価クロム、区道に漏れ出す 東京・江戸川区 (12/26)
東京都江戸川区小松川1丁目の区道で、発がん性が指摘される有害物質の六価
クロムを含む地下水が路上に漏れ出していたことが、東京農工大の渡辺泉准教
授(環境毒性学)らの調査でわかった。都と区は25日に現場付近を除染した。
渡辺准教授によると、現場周辺で定期的に続けている調査の一環で21日に現
場を訪れ、六価クロムを含む地下水が雨水ますから漏れ出しているのを見つけ
た。
一帯は化学メーカーの工場があった場所で、高濃度の六価クロムに汚染されて
いることが1970年代に発覚した。土地を購入した都は無害化処理して埋め
戻し、土で覆って大島小松川公園として整備した。その後も六価クロムを含む
地下水がたびたび漏れ出し、処理しきれていない恐れが指摘されている。
渡辺准教授らの簡易検査では、現場で採取した水に含まれる六価クロムの濃度
は50ppm以上だった。渡辺准教授は「環境基準の1千倍に相当する」と指
摘する。
区は都と共同で除染し、雨水ます周辺に柵を設置した。都と今後の対応を話し
合う。渡辺准教授は「汚染源を特定し、取り除くべきだ」と話す。
近くの男性(36)は半年ほど前に妻と4歳、1歳の子と引っ越してきた。
「六価クロムと聞いても、健康に影響があるのかないのか分からない。ちゃん
と説明してほしい」と話した。
現場の西隣の江東区大島地区で土壌汚染問題に取り組んできた「公園のクロム
を考える会」の中村雅子・江東区議は「子どもを含む住民が通る場所。行政と
企業は腰をすえて調査と対策に乗り出すべきだ」と訴える。
(朝日新聞)
◆解説
1970年代の負の遺産が未だに影響を及ぼしています。
この問題は、「六価クロム汚染土壌対策」として東京都環境局のホームページ
にも詳述されています。
東京都が買い上げた土地に埋め立てられていた六価クロム鉱さいの還元・封じ
込め処理を施したのですが、六価クロムを含む地下水がたびたび漏れ出し、そ
のために還元処理で対応しています。
病原体が残ったままの対症療法ですので、問題が解決することはなさそうです。
この問題の大きなポイントは、住民の生活から隔離されていないことです。
福島第一原発の30キロ圏内にある福島県広野町で昨年4月に開校された「ふた
ば未来学園高」の開校式には政治家や多くの著名人が参加し、その是非が話題
となりました。
年始に環境問題を考えるネタとして利用できるかもしれません。
★土壌汚染対策について、①直接接取の防止の観点からの措置と、②地下水経
由の摂取の防止の観点からの措置を「ESHエキスパート」でご紹介していま
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■労働災害の真相
◆ぼうこうがん5人発症、福井の工場 訴え無視されたと発症従業員 (12/21)
染料・顔料の原料製造工場の従業員ら5人がぼうこうがんを発症した問題で、
この工場は三星化学工業(東京)の福井工場と20日、分かった。同社社長は
取材に「法令は順守していたが、対策が十分だったのか調べている」と話した。
社長によると、工場は1988年設立。ぼうこうがんを引き起こすとの指摘が
ある物質「オルト―トルイジン」を扱っていた。作業工程ではマスクや手袋、
帽子を着け、換気装置もある。5人は主に、液体のオルト―トルイジンからつ
くった粉末状の物質の袋詰めをしていた。機械の保守点検時に粉末が舞うこと
もあった。
医師の診断では、他の従業員の健康に問題はなかった。同社の他工場でもぼう
こうがんの発症例はないが、退職者の健康状態も調べるという。
この問題をめぐっては、厚生労働省が18日に発表。同省によると、5人は4
0~50代の男性で、昨年2月~今年11月にかけてぼうこうがんと診断され
た。今月3日、工場から所管の労働局に相談があって発覚した。
工場側はこの物質の危険性を認識し暴露防止措置を取っていたが、同省は「ど
こかで漏れがあったと判断せざるを得ない」としている。5人には労災申請を
勧めている。
発症した5人のうちの一部が入る労働組合「化学一般労連関西地方本部」は2
1日、今回の問題で報道関係者向け説明会を福井市で開く。
三星化学工業のホームページによると、同社は1953年に設立。有機顔料中
間体などの製造販売を手掛けている。福井市のほか、埼玉県越谷市と福島県相
馬市に工場がある。
◇「訴え無視された」 発症従業員
三星化学工業福井工場に勤務し、ぼうこうがんを発症した従業員ら5人のうち、
坂井市内の男性(56)が20日、福井新聞の取材に応じ「何度も会社側に危
険性を訴えたが、対応してくれなかった」と怒りをあらわにした。
この男性は18年余り、福井工場に勤務。オルト―トルイジンからつくった粉
末状の物質を袋詰めする作業や、機器の修理の際に機器にこびりついた粉末の
結晶をへらで落とす作業に従事し「作業が終わると顔が(粉で)真っ白になっ
た」と振り返る。
オルト―トルイジンは化学物質「芳香族アミン」に分類される。工場では、芳
香族アミンの動物への発がん性を指摘する文書が約4年前に従業員に配布され、
この男性は「みんなびっくりした」と話し、「そのときから粉じんにさらされ
ていることを上司に言い続けてきたが、会社は『今まで通りやれ』と言うだけ
だった」と憤った。
男性は今年11月にがん発症が分かった。発症とオルト―トルイジンの因果関
係は認定されていないが「どんな結果になろうと、訴えを無視し続けたのが一
番許せない」と話す。男性によると、男性を含む3人が近く労災申請をする予
定という。
【オルト―トルイジン】
国際がん研究機関(IARC)は、発がん性があり、ぼうこうがんを引き起こ
すと指摘している。日本化学物質安全・情報センター(東京)によると、20
01年時点の世界の製造量は11企業で計5万9千トン(推定)。除草剤を製
造する際に使われることが多いが、染料や顔料の原料となる物質を造る際にも
使われる。
(福井新聞)
◆解説
同社社長が「法令は順守していた」とコメントしていますが、従業員のコメン
トでは、オルト―トルイジンからつくった粉末状の物質を袋詰めする作業や、
機器の修理の際に機器にこびりついた粉末の結晶をへらで落とす作業に従事し
「作業が終わると顔が(粉で)真っ白になった」とあります。
労働安全衛生法では、次のとおり、有害な業務においては適切な保護具の着用
を求めています。
(呼吸用保護具等)
第五百九十三条 事業者は、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、多量
の高熱物体、低温物体又は有害物を取り扱う業務、有害な光線にさらされる業
務、ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所における業務、病原体による
汚染のおそれの著しい業務その他有害な業務においては、当該業務に従事する
労働者に使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具
を備えなければならない。
当該物質は、労働安全衛生法のSDS発行が義務付けられる「名称等を通知すべ
き有害物」(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)ではありますが、特定
化学物質などではありません。
法令は常に後追いであることを念頭に、いかなる化学物質の暴露も最小限に留
めることに注力する必要があります。
なお、本年6月からは化学物質のリスクアセスメントが義務付けられますが、
これは法規制が後追いになることの責任を国が回避するための法令であるとも
いわれていることを忘れてはなりません。
★本件の原因物質を厚生労働省が提供しているリスクアセスメント実施支援シ
ステム(コントロールバンディング法)にてアセスメントした結果を「ESHエ
キスパート」でご紹介しています!
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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■今日の言霊
人と比較をして劣っているといっても、決して恥ずることではない。
けれども、去年の自分と今年の自分とを比較して、もしも今年が劣って
いるとしたら、それこそ恥ずべきことである。
■新着情報
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正(カドミウム)
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正(水銀)
・廃棄物情報の提供に関するセミナー
・プレス機械の安全装置管理指針の改正
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説と参考事例紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 3件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 13件
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