高島市ダイオキシン問題 コスト優先、管理甘く/滋賀
■■ ESHの解決策
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2014.10.1 No.360
企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
御嶽山の噴火は多くの犠牲者を出す大惨事となってしまいました。全国には2
4時間体制で監視されている火山が47もあり、御嶽山もその1つでしたが、
今回の噴火は専門家でも予想が難しいものだったようですね。
今回の噴火による遭難者の数ですが、報道によると今でも正確な数は分かって
いないそうです。その理由として、御嶽山に限らず、多くの登山者が「登山計
画書」を提出しないことが挙げられています。登山計画書(登山届)とは、登
山の日程、ルート、参加者等の情報を記入した書類の事で、主要な山の登山口
には投函するポストが用意されています。遭難が発生した際にこの計画書が救
助のための重要な参考情報となるそうです。
最近では「山ガール」などという言葉もあるように、登山に親しむ方が増えて
きました。登山には思わぬ危険が伴うことを忘れずに、無理はせず安全に楽し
んでいただきたいものですね。(門)
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★お知らせ
本メルマガは毎月第1,3水曜日に発行しておりますが、次回は10月22日
(水)の発行とさせていただきます。予めご了承ください。
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■環境不祥事の教訓
◆高島市ダイオキシン問題 コスト優先、管理甘く/滋賀 (9/23)
高島市環境センターが基準を超えるダイオキシンを含むごみ焼却灰を神戸市沖
の埋め立て処分場に違法搬入していた問題で、市のセンター運営上の課題が鮮
明になった。第三者委員会は今月まとめた「組織体制面の課題等の整理」など
を基に22日に市に中間報告。基準超過が、高度の技術を要するガス化溶融炉
の維持管理をメーカー以外の業者に委託していた時期に始まったことを示し、
炉の維持管理がコスト優先となって適正に行われなくなったと指摘している。
「組織体制面の課題等の整理」は(1)組織、個人の関与(2)業務マニュア
ル(3)運転データ(4)修理・修繕・定期点検(5)外部委員会(6)委託
業者-の6テーマに分けて、背景・経過と課題整理、是正・再発防止策を一覧
にした。
(1)では、ダイオキシンが基準を超えた際、数値を低くするために再測定を
する前例踏襲や問題先送りで、結果的に隠蔽(いんぺい)。コンプライアンス
(法令順守)意識が低かったとし、(2)では、業務マニュアル整備が不十分
で、職員は経験値に基づいて運営してきたと指摘した。
(6)では、2003年の本格稼働から3年のメーカー保証期間が過ぎると、
維持管理費の低減を最優先して競争入札した汎用(はんよう)品を補修や改良
に使用。(メーカー仕様から)設備に変更が生じて、維持管理の「メーカー離
れ」が始まったとした。
しかし、専門知識や高度な技術を持つ職員がいないため、市は07年に嘱託職
員を雇用。補修工事の設計施工監理などを任せたが、この時期に初めてダイオ
キシン濃度が基準を超えたと関連に言及した。是正・再発防止策では、コスト
を抑えた半面、維持管理が甘くなったとの見方を示した。
その後の業務委託先についても「必ずしも専門的な技術と経験、構造を熟知し
ていたとは言い難く、炉の部分的な補修はできても炉全体の安定稼働にはつな
がらなかった」と指摘した。第三者委は技術面の検討で、ダイオキシンの発生
抑制には炉の不安定燃焼の解消が必要とし、具体的な対策を提言している。
(毎日新聞)
◆解説
業務委託先の力量の低さは、高島市だけの問題ではありません。競争入札の結
果、多くの自治体で信じられないほどの安価で運転管理が落札されています。
実際に自治体の管理を請負っていた知人は、「この価格では字の読める人は雇
えない」と嘆いていたほどです。
コストダウンは必要ですが、最低限の力量を確保しない限り、適切な運転管理
は期待できません。そのうえ、部品等についても保証なしに安価な汎用品を使
用していたのですから、ダイオキシンの基準超過も当然の帰結と言えます。
それにしても、原因(1)の「コンプライアンス(法令順守)意識が低かっ
た」は、お粗末ではないでしょうか。
以前にも記しましたが、コンプライアンスは「言い訳」や「アリバイ」に利用
するものではありません。
「コンプライアンス意識が低かった」のは結果に過ぎず、リスクマネジメント
として機能しないガバナンスを反省すべきです。
民間企業も他山の石としたいお粗末なマネジメントと言えそうです。
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■労働災害の真相
◆死亡:プレス機下敷き、作業の男性-太田・富士重工場/群馬 (9/20)
19日午前9時ごろ、太田市スバル町の富士重工業群馬製作所本工場で、会社
員(32)がプレス機の下敷きになり、搬送先の病院で死亡が確認された。
太田署によると、男性が勤務する会社が富士重から工場内のプレス機移動作業
を受注し、同僚と2人で移動作業中、何らかの理由で約16トンあるプレス機
が横倒しとなり、男性が下敷きになったという。
(毎日新聞)
◆解説
別の記事では、プレス機は、高さ4メートル余り、幅およそ3メートルで重さ
が15トンとの記載もありました。
重量物の運搬・移動・据付は専門業者が行うケースが多いようですが、15ト
ンの機械を2名で移動するのは困難が伴いそうですね。
移動方法は、クレーンやコロ引きによる工法が主流ですが、油圧式の移動装置
や、ホバークラフトの原理を利用したエアモジュール装置など専用の工法もあ
るようです。
関連する法令として、労働安全衛生規則では、構内運搬車、貨物自動車または
貨車の一の荷でその重量が100キログラム以上のものの積卸し作業については、
次のとおり定めています。(第百五十一条の六十二、第百五十一条の七十、第
四百二十条)
当該作業の指揮者を定め、その者に次の事項を行わせなければならない。
一 作業の方法及び順序を決定し、作業を指揮すること。
二 器具及び工具を点検し、不良品を取り除くこと。
三 当該作業を行う箇所には、関係労働者以外の労働者を立ち入らせないこ
と。
四 ロープ解きの作業及びシート外しの作業を行うときは、荷台上の荷の落
下の危険がないことを確認した後に当該作業の着手を指示すること。
意外と知られていない条文ですので、再確認されることをお薦めします。
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■今日の言霊
受けた恩は一生忘れるな、施した恩は水に流せ
■新着情報
・平成26年11月の特定化学物質障害予防規則等の改正
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説と参考事例紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 4件
■不法投棄関連情報
全国の不法投棄関連情報 1件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 14件
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