シアン流出:コイなど100匹死ぬ メッキ工場操業停止
■■ ESHの解決策
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2008.10.1 No.216
企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
ここ数日、急に肌寒くなってきましたが、皆さま、風邪など召されていないで
しょうか?
空は高く澄み渡り、稲穂も黄金色に輝いて風景はすっかり秋の色ですね。
美味しいものもたくさん!で誘惑の多い季節でもあります。気をつけないと
・・・
さて今週末、娘の通う保育園で運動会があります。去年まではお義理で参加さ
せてもらっていたようなもので、参加種目も徒競走くらいしかありませんでし
た。
今年からは、障害物競走、綱引き、玉入れと出番がたくさんあるようで、本人
も張り切っています。そういう私も玉入れに参加予定。去年負けた先生チーム
には絶対勝つぞ!
芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋、そして食欲の秋。
皆さまも秋を存分にお楽しみくださいね。 (門)
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■環境不祥事の教訓
◆シアン流出:コイなど100匹死ぬ メッキ工場操業停止/岐阜 (9/23)
関市神明町の吉田川で21日午前、オイカワやコイなど約100匹が死んでい
るのが見つかった。県中濃振興局中濃事務所が川の水を調べたところ、1リッ
トル中0・2ミリグラムのシアン化合物が検出された。
県中濃振興局中濃事務所は22日、工場排水基準の11倍のシアン化合物を川
に流したとして、現場から上流約600メートルにある関市寿町のメッキ工場
に操業停止を指示する行政処分をした。
調べでは、同社の汚水処理施設でシアンを分解する水酸化ナトリウムがポンプ
の中で詰まってしまい、シアンが未処理のまま放流されていた。操業停止は、
汚水処理施設が正常に作動するまでで、事故報告書の提出も求めている。
◆教訓
排水処理施設のトラブルによりシアン化合物が処理できずに流出し、魚が死ぬ
という事件ですが、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)がポンプの中で詰まって
しまい、注入できなかったという初歩的な問題です。
操業停止の処分はまれな事態ですね。
水酸化ナトリウムは結晶化しやすく長年の使用により配管が閉塞するようなケ
ースもあります。
次のような点が確実であったかを確認する必要があります。
・ポンプのメンテナンス
・運転員のトレーニング
・排水処理後のシアンのモニタリングとインターロック
・異常の際の対応
そして何よりも重要なのが経営資源の投入です。
排水処理施設が老朽化していなかったか、運転・保守管理の要員は充足してい
たのか・・・。
多くの中小メッキ工場は経営資源が足りていません。
多くの読者は大企業の方々ですが、この問題を中小企業の問題ととらえてはな
りません。
このメッキ工場で加工された部品は大企業に供給されている筈だからです。
多くの企業は「グリーン調達」をしていますが、書面によるアンケートが中心
で、またコストが優先され、調達先の環境リスクまで確認していません。事業
継続計画BCPの観点からも確認が必要です。
優先度の高いサプライヤーに対しては現場を含むリスク監査を実施したいもの
です。
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■労働災害の真相
◆42歳男性、化学薬品を浴び意識不明の重体-大泉/群馬 (9/26)
25日午前4時半ごろ、大泉町坂田1の三洋半導体製造群馬工場で、社員(4
2)が機械を整備中、近くにあったガラス製の薬瓶が割れ、化学薬品「オキシ
塩化リン」が被災者の顔などにかかった。
半導体の生成に使う「縦型リンデポ炉」という機械のパイプを洗浄していた。
機械に取り付けられたオキシ塩化リンの瓶が何らかの原因で割れたとみられる。
破裂音を聞いた同僚が119番通報し、被災者は病院に搬送されたが意識不明
の重体。近くにいた二人の男性社員も気化した劇薬を吸い、目やのどに軽傷。
調べでは、被災者は同社に約10年間勤務しているベテランで、1人で作業中
だった。オキシ塩化リンは粘膜に激しい刺激を与える作用があり、触れたり吸
入したりすると頭痛や吐き気をもよおし、意識障害などを起こすこともあると
いう。
◆解説
「オキシ塩化リン」は、労働安全衛生法では「塩化ホスホリル」といい、”名
称等を通知すべき有害物”(MSDSの通知を義務付ける有害物質)に該当します。
平成18年12月1日に施行された改正労働安全衛生法に従ってラベルやMSDS
にはGHSの絵表示が必要となります。(労働安全衛生法57条、規則34条)
注
GHSとは、Globally Harmonized System「化学品の分類及び表示に関する世界
調和システム」の略で、国際連合が勧告として各国に公表したもの
多くの組織では古いMSDSが利用されており、GHS対応のMSDSへの更新が必要で
す。見直しをお薦めします。
さて、労働安全衛生規則では保護具の着用について定めています。このケース
では、通常は瓶が割れることは考えられなかったかもしれませんが、結果とし
ては保護具の着用が必要であったことが考えられます。
非定常作業において、どこまでリスクを想定し保護具を着用するかは難しい問
題ですが、そこに企業の安全カルチャーが表れるものです。
安全衛生マネジメントでも世界をリードするデュポン社は、ブレーカーを落と
すだけでも宇宙服のような感電防止保護具を着用しています。
★法令の根拠は?
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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■新着情報
・水質汚濁防止法における閉鎖性海域の窒素・燐に係る排水基準
・平成18年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関す
る調査結果
・土壌汚染に関するリスクコミュニケーションセミナー
■読者からのQ&A
・エネルギー管理員について
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説と参考事例紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報8件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報28件
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