住友化学愛媛工場火災:工場側が県・市・住民に再発防止策を提出/愛媛
■■ ESHの解決策
■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2010.5.19 No.255
企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ご挨拶
5月も中旬になり、次第に初夏を感じさせる気候となってきました。過ごしや
すい季節の一方で、私の周りでは喉の痛みやセキなどの症状が長く続いている
人が多くみられます。皆さまはいかがでしょうか?
さて、突然ですが最近ご夫婦(または恋人)で手をつないでいますか?
実は先日、保育園の育児セミナーでこんなお話がありました。「信頼感の高い
親子間、特に母親と子供の間では、授乳中や手をつないだときなどにオキシト
シンという物質が分泌されます。これは快適ホルモンや愛情ホルモンとも呼ば
れ、相手を愛おしく感じさせるものです。ですからいっぱいスキンシップをし
てくださいね。余談ですが、夫婦間でも効果的ですよ」
帰宅後、さっそく主人にその話をしたところ、さっと握手を求められました。
言いたいことはそういうことじゃないんだけどなぁ・・・(門)
———————————————————————-
◆お知らせ
● 5/10・大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律が公布さ
れました。
● 5/12・廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正案が参議院で可決され、
間もなく公布の見込です。
☆廃棄物に関連するメールマガジンのご紹介
廃掃法が改正され、一層の管理強化が必要とされますが、廃棄物のスペシャリ
ストである行政書士の尾上氏の無料メールマガジン「よくわかる!!廃棄物問
題」は法令に基づく実践的な内容も多く参考になると思います。
ご参考にされてはいかがでしょうか。
http://www.mag2.com/m/0000168298.html
———————————————————————-
■環境不祥事の教訓
◆住友化学愛媛工場火災:工場側が県・市・住民に再発防止策を提出/愛媛
(5/12)
新居浜市大江町の住友化学愛媛工場内の同社関連会社「エスエヌ化成」第1工
場で先月29日起きた大規模火災で、住友化学愛媛工場の工場長らが11日、
県庁を訪れ、施設内に窒素を充てんして粉じん爆発を防止することや、火災な
どの発生の際は広報塔で住民に一報段階から知らせるなど、再発防止策をまと
めた報告書を県に提出した。また同社側は同日、同市や周辺住民にも再発防止
策を説明し、謝罪した。
報告書では、火災原因と推定される粉じん爆発を防ぐため、製造施設内に窒素
を充てんして着火を防止すると説明。消防や住民への連絡が遅れたとの指摘が
あることから、市消防本部専用のオートダイヤルの設置や、火災などの発生の
一報段階から広報塔の自動音声放送で住民に知らせることなどを検討する、と
している。
工場長は「非常に申し訳ない。エスエヌ化成が孫会社であったため、子会社に
安全対策を任せていたと反省している。今後はグループ全体で安全対策を強く
監査指導していく」と話していた。
また、同工場などは同日、新居浜市にも報告書を提出。佐々木龍市長は「報告
書は受け取ったが、周辺住民に対する説明が必要だ」と苦言を呈した。同工場
は、同日午後4時ごろから、工場近隣などの自治会、学校など約50カ所に報
告書の要約版を配布し、原因を説明したうえで、謝罪した。
◆解説
同社のホームページには、5/12付けで「エスエヌ化成株式会社第一工場(愛媛
工場大江地区構内)における火災事故について」と題して新着情報(報告書)
がアップされています。
前号でも解説したとおり、グループガバナンスが重要ですが、報告書ではグル
ープ会社のRC(レスポンシブルケア)管理レベルの引き上げに言及していま
す。
また、事故の原因について、次のように記述しています。
製造時に混合機にて原料を均一混合し、混合した原料を中間タンクへ移す際に、
原料に帯電する静電気が中間タンク内で生じていた粉塵雲に放電して着火し、
粉塵爆発を引き起こし、火災に至ったものと考えられる。
その後、中間タンク内で発生した粉塵爆発が混合機からの集塵ダクト、集塵機
へと着火伝播し、複数回の粉塵爆発を発生させ、樹脂原料等へも延焼したこと、
原料の静電気帯電対策として、中間タンクには鰐口クリップによる接地接続を
していたが、除電効果が不十分であったために放電着火したのではないかと推
測している。
配管の中を圧送される粉体には、摩擦やはく離が頻繁に繰り返され、静電気が
発生(衝突帯電)します。
そして、発生した静電気はアースがないと溜め込まれ、強く帯電した物質に、
別の物質が近づくと、帯電している静電気が移動して放電します。
ここで注意が必要なことは、絶縁体が帯電した場合には、アースをしても電荷
は移動せずそのまま残る、つまりアースは有効ではないこともあります。
静電気については高度な専門知識が要求されます。安易に「アースをしていれ
ば大丈夫」と考えず、専門家の診断を仰ぐことも重要です。
また、このケースのように粉じん爆発の特徴は爆発が連鎖することです。従っ
て粉じんを堆積させないことが重要ですが、粉じん障害防止規則では次のとお
り清掃に関して定めています。
(清掃の実施)
第二十四条 事業者は、粉じん作業を行う屋内の作業場所については、毎日
一回以上、清掃を行わなければならない。
2 事業者は、粉じん作業を行う屋内作業場の床、設備等及び前条第一項の
休憩設備が設けられている場所の床等(屋内のものに限る。)については、た
い積した粉じんを除去するため、一月以内ごとに一回、定期に、真空掃除機を
用いて、又は水洗する等粉じんの飛散しない方法によつて清掃を行わなければ
ならない。ただし、粉じんの飛散しない方法により清掃を行うことが困難な場
合で当該清掃に従事する労働者に有効な呼吸用保護具を使用させたときは、そ
の他の方法により清掃を行うことができる。
清掃は、粉じん爆発対策としても、衛生管理上も極めて重要な安全衛生対策で
あることを理解したいものです。
★粉じん爆発・溶剤の静電気による引火の動画を「ESHエキスパート」でご紹
介しています!
【ESHエキスパート】 → http://www.esh.co.jp/expert.html
☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関に審査員教育用資料として
採用されています。
———————————————————————-
■労働災害の真相
◆事故:機械に挟まれ、臨時社員死亡-戸田の工場/埼玉 (5/10)
9日午前10時ごろ、戸田市の明治乳業関東工場で、臨時社員(21)が、ヨ
ーグルトの製造ラインの昇降機に挟まれているのを従業員が見つけ、119番
した。女性は全身を挟まれ間もなく死亡した。
蕨署によると、昇降機は1メートル四方で金属製。挟まれて呼吸できなくなっ
たとみられる。女性は1人で点検作業をしていたという。
【産経新聞】
9日午前9時ごろ、埼玉県戸田市川岸の明治乳業関東工場で、契約社員の女性
(21)が、製品運搬用の油圧リフターを点検作業中、荷物を置く鉄板が落下、
女性が鉄板と床の間に肩などを挟まれた。女性は病院に運ばれたが、同日夕、
死亡が確認された。
蕨署の調べでは、鉄板は2メートル×3メートルの大きさで、事故当時は約1
メートルの高さに固定されていた。女性は1人で潤滑剤の油をリフターに塗る
作業中だったという。同署で事故原因を調べている。
◆解説
詳細は不明ですが、臨時社員の21歳の女性が亡くなるという残念な事故ですね。
鉄板がなぜ落下したのかは不明ですが、教訓は「位置のエネルギー」です。
非定常作業では、「不要なエネルギー」を排除することが必要で、電気的、機
械的(バネなど)、圧力的(油圧、空気圧)、熱的、化学的なエネルギーと共
に位置エネルギーも対象となります。
位置エネルギーを排除するためには、床面まで降ろすこと、ブロックを挿入す
ることが有効です。
このケースでは被災者の臨時社員にそれを要求することは不可能だと考えられ
ますので、職長等が潤滑剤の油をリフターに塗る作業の前に安全を確保するこ
とが必須です。
それ以前に、機械に対する知識や危険察知力が不足していると考えられる21歳
の臨時社員の女性に注油作業を任せること自体が妥当であったかが問題ですね。
★米国のロックアウト・タグアウト手順を「ESHエキスパート」でご紹介して
います!
【ESHエキスパート】 → http://www.esh.co.jp/expert.html
———————————————————————
★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める
◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■今日の言霊
「感謝の「謝」は「言」を「射る」と書く」
■新着情報
・大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の公布
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の参院可決
・製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針
<鉄鋼業向け解説マニュアル>
・平成21年における死亡災害・重大災害発生状況等について
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説と参考事例紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報4件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報8件
【ESHエキスパート】 → http://www.esh.co.jp/expert.html
———————————————————————-
本メルマガは、「ESHエキスパート」のダイジェスト版をお届けしています。
(2回/月:第一、第三水曜日発行)
メルマガは、発行者からは読者を知ることができず、不特定多数の方に配信す
ることになります。読者様も増え、実名を含む記事の紹介などの支障も懸念さ
れるためです。
どうぞご理解ください。
■ 『ESHエキスパート』の詳細及びお申込みはこちらから
→ http://www.esh.co.jp/expert.html
★お申込みの際、≪質問・ご確認事項など≫欄に必ず「メルマガ読者」と
ご記入ください。
——————————————————————–
★このメールマガジンを皆様にとってより良いものとするために、読者の皆様
のご意見やご要望をお待ちしております。是非ともお寄せください。
◇ info@esh.co.jp まで
———————————————————————
★★★読者の皆様へESHデータバンクのご案内★★★
環境、安全衛生、ISO14001、OHSAS18001に関する有料の資料集サイト「ESHデ
ータバンク」のサービス、好評提供中です。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◇
【発行元】
環境ワークス株式会社
発行責任者 黒崎
★このメールマガジン転送はOKですが
掲載された記事の内容を許可なく転載する
ことを禁じます。問い合わせ下さい。 (C) Copyright -2009
———————————————————————-