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NO.286

塩酸タンク:作業員2人死亡 上部から転落 千葉・船橋

■■ ESHの解決策
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                          2011.9.7 No.286

企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
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◆ご挨拶

自転車並みのゆっくりとした速度で日本列島付近に長期間停滞した台風12号は、
紀伊半島を中心に各地に甚大な被害をもたらしました。

時間が経つにつれてその被害の概要が明らかになってきましたが、6日0時現
在でお亡くなりになられた方37名、行方不明者55名だそうです。被害に遭
われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

東日本大震災をはじめ、今年は記録的な自然災害に見舞われ、各地で大きな被
害が出ています。テレビなどで映し出される凄惨な現実に言葉を失うばかりで
す。

今回大きな被害に見舞われた地域では住民への避難勧告や指示が出されていな
かったケースも多かったようです。「むやみに発令するのは逆に無責任」と判
断に迷う現場の姿もあるようですが、日頃から住民の理解を得るなどして被害
を最小限にとどめるための防災計画を再度見直してほしいものです。

また、私たちひとりひとりが災害に対する認識を深め、「自分の身は自分で守
る」という心構えを持つ必要があると思います。(門)

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■環境不祥事の教訓

◆松山の県道で劇物2グラム落下・公表は2日後/「被害ない」(8/26)

松山市内に工場がある化学繊維製造・販売の帝人テクノプロダクツは25日、
同市内の県道上で工業用繊維の原料となる劇物「パラフェニレンジアミン」を
漏れ落とす事故があった、と発表した。すでに同社が回収しており、健康被害
の報告や環境への影響はなかったとしている。事故は23日に発生していたが、
公表は2日後だった。

落としたのは、帝人松山事業所北地区(北吉田町)から松山港のコンテナター
ミナル(大可賀3丁目)までの約2キロ区間。県道上の6カ所に計2グラムを
確認した。このほか、ターミナル内に計10グラム、事業所敷地内にも計3キ
ロ漏れ落ちていたという。

同社によると、23日午後1時20分ごろ、同社松山製造所内にパラフェニレ
ンジアミンを運び込んだコンテナを松山港に搬送している際、コンテナ内に残
るなどした少量が落下したとみられる。この物質は触ると炎症を起こすほか、
吸い込むと量によっては呼吸困難を起こし、死亡する可能性もあるという。

同社は公表が遅れた理由について、「状況確認や回収に時間を取られ、結果的
にこの日になった」と説明。連絡を受けていた松山市も同社が発表するまで広
報しておらず、野志克仁市長は「市は、まず市民の生命財産を大切に思ってい
るが、足りない部分があったようなので、すぐに改善したい」と話した。
(asahi.com)

◆解説

市販の毛染め剤にも含有される劇物、「パラフェニレンジアミン」(PPD)の
運搬中の落下事故です。

同社のHPにアップされたニュースリリースには次のとおりの記述があります。

「事故を確認しました後、遅滞なく関係当局に報告を行うとともに、速やかに
回収・洗浄作業を行い、当日中には各当局より処置完了の確認をいただいてお
ります。人的ならびに環境への影響はありません。」

毒物劇物取締法上の届け出は次のとおり「直ちに」ですが、ニュースリリース
上は、”遅滞なく”とされています。

(事故の際の措置)
第十六条の二  毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒
物若しくは劇物又は第十一条第二項に規定する政令で定める物が飛散し、漏れ、
流れ出、しみ出、又は地下にしみ込んだ場合において、不特定又は多数の者に
ついて保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健
所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するた
めに必要な応急の措置を講じなければならない。

教訓とすべき点は、マスコミの記事からは、行政への届け出だけでは十分では
なく、公表を期待されていると考えられる点です。

たった2グラムではありますが、そういう時代だと認識することが重要だと言
えそうです。

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■労働災害の真相

◆塩酸タンク:作業員2人死亡 上部から転落 千葉・船橋 (8/24)

24日午前9時半ごろ、千葉県船橋市の金属製品製造会社「日鉄住金鋼板」船
橋製造所から、「作業員2人が塩酸収納タンクに転落した」と119番があっ
た。タンク内の塩酸を抜き取った後に救急隊員が救出したが、約2時間半後に
2人の死亡が確認された。同県警船橋署が転落原因を調べている。

同製造所によると、2人は配管工事会社(埼玉県吉川市)の作業員の可能性が
ある。遺体の傷みが激しく、同署は司法解剖などを行い身元の確認にあたると
いう。

同署や同製造所などによると、タンクは強化プラスチック製で高さ約5メート
ル、直径約3メートルで、濃度約35%の塩酸約4.7トンが入っていた。

2人はこの日午前8時ごろから作業を始め、タンク上部に作業員1人が乗って
いたところ、上部が割れてタンク内に転落。助けようとした別の作業員も転落
したという。上部に縦横約1~2メートルの穴が開いていた。

塩酸は鉄のさび落とし用に保管されていた。タンク上部は人が乗って作業する
ことが想定された構造になっていないという。同製造所は「タンクの上部に乗
る作業は今回は予定されていなかった」としている。

◆解説

最近の労働災害の中でも最も悲惨な労災と言えるでしょう。

別の記事では次のような記述もありました。

「2人はこの日、午前8時すぎから、他の1人とタンクの配管工事の下見作業
をしていた。」

「製造所によると、タンク内には、鋼板のメッキに使う塩酸約7トンが入って
いた。作業前には現場責任者がタンクに上らないよう安全指導したという。」

この悲惨な災害には、”FRPの劣化”以外に二つの大きな教訓があると考え
ます。

一つ目は、この作業が「下見」であったこと。
これが「工事」であったら、より厳重な工事管理や養生がされていたことが予
想されます。

下見中の災害としては、営業担当者が見積のための現場下見中に転落するなど、
施工担当者以外の要員の事例もあります。

「下見だから大したリスクはない」と考えたら大間違いです。

もう一つの教訓は、「作業前には現場責任者がタンクに上らないよう安全指導
した」という点です。

口頭だったのか、文書として残っているのか、は発注者の責任を考える上でと
ても大きな差となります。

発注者の責任を全うするためにも事前の文書による注意事項の伝達が重要にな
ります。

工事業者の管理に最大限の注意を払いたいものです。

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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■今日の言霊

 我々の前後に存在するものは、
 我々の内に存在するものに比べれば些細なものである

■新着情報

・化学物質による災害発生事例について

■環境不祥事の教訓

 より詳細な解説と参考事例紹介

■労働災害の真相

 より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

 全国の事故・事件情報 5件

■不法投棄関連情報

 全国の事故・事件情報 2件

■労働災害レポート

 全国の労働災害・書類送検情報 13件

★不祥事・災害事例の出典:明記のないものは毎日新聞

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