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NO.514

福島原発事故「10年目の真実」…「東日本壊滅」という最悪シナリオを回避できた「本当の深層」

■■ ESHの解決策
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2021.3.10 No.514

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

少しずつ春の暖かさを感じる陽気となってきました。本来なら明るい日差しの
下お出掛けが楽しい季節ですが、新型コロナの影響で自粛せざるを得ないのが
残念です。

一方で花粉症のシーズン真っ只中でもあります。週末、薬も飲まずティッシュ
も持たずに犬の散歩に出掛けたところ、猛烈なくしゃみ、鼻水、目のかゆみに
襲われ、大変な思いをしました。油断大敵ですね。

油断大敵といえば、私事で恐縮ですが、10日ほど前に鼓膜に穴が開いてしまい
ました。原因は耳かき中に体勢を変えた際に耳かきで鼓膜を突いてしまったた
めです。耳鼻科の先生によると、鼓膜自体は徐々に再生するものの、難聴は
1~3ヶ月ほど続くとのこと。半年経っても聴力が戻らない場合は、手術という
選択肢もあるそうです。

「竹の耳かきはダメだよ」と言われ、帰宅後すぐに捨てました。皆様も慣れた
動作だからといって油断せずに十分お気を付けくださいね。(門)

 

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■環境不祥事の教訓

◆福島原発事故「10年目の真実」…「東日本壊滅」という最悪シナリオを回避
できた「本当の深層」

福島第一原発事故が発生した2011年3月11日から10年が経とうとしている。3つ
の原子炉が相次いでメルトダウン、原子炉や格納容器が納める原子炉建屋が
次々に爆発するという未曾有の原発事故は、福島の地に大きな爪痕を残した。

実は、事故発生直後に極秘裏に行われた「シミュレーション」によると、帰宅
困難区域は東日本全体に及ぶ可能性があった。当時の原子力委員会委員長の近
藤駿介氏が行ったシミュレーションでは、最悪の場合、東日本全体がチェルノ
ブイリ原発事故に匹敵するような大量な放射性物質に汚染され、原発から250
キロメートル半径の住民が避難を強いられるという予測をしていた。

なぜ、福島第一原発事故は、「東日本壊滅」という最悪シナリオを回避できた
のか。

冷却が途絶えた2号機は、何度試みてもベントができなくなり、なんとか原子
炉を減圧したが、消防車の燃料切れで水を入れることができず、原子炉が空焚
き状態になった。

しかし、2号機の格納容器は決定的には破壊されなかった。なぜ、破壊されな
かったのか。

事故から10年。この謎を包んでいた厚いベールが剥がれ始めてきた。

ベントができず肝心なときに水が入らなかったため過酷な高温高圧状態だった
と思われた2号機の原子炉や格納容器の中には、思いのほか溶け残っている金
属が多く、予想に反して高温に達していなかったことがわかってきた。その理
由は、皮肉にも肝心なときに水が入らなかったことではないかと研究者は指摘
している。

メルトダウンは、核燃料に含まれるジルコニウムという金属と水が高温下で化
学反応を起こすことで促進される。消防車の燃料切れでしばらく水が入らな
かった2号機は、水─ジルコニウム反応が鈍くなり、1号機や3号機に比べて原
子炉温度が上昇せず、メルトダウンが抑制された可能性が出てきたのである。

さらに格納容器は破壊ぎりぎりの高圧になったが、上部のつなぎ目や、配管と
の接続部分が高熱で溶けて隙間ができ、図らずも放射性物質が漏れ出ていたこ
とも破壊を防いだ一因とみられている。

そして2号機は、電源喪失から3日間にわたってRCICと呼ばれる冷却装置で原子
炉を冷やし続けていたため、核燃料のもつ熱量が、1号機や3号機に比べると小
さくなり、メルトダウンを抑制させたのではないかと指摘する専門家もいる。
こうした僥倖が複雑に折り重なって、格納容器は決定的に壊れなかった。

3日間奇跡的に原子炉を冷却し続けたRCICは、津波で電源喪失する直前に中央
制御室の運転員がとっさの判断で起動させたものだった。

こうした人間の力をはるかに超えた偶然が重なって、2号機は格納容器が決定
的に壊れるという事態を免れた。それが事故から10年経って見えてきた「真
実」ではないだろうか。

この極限の危機において、人間は核を制御できていなかった。それが「真実」
である。
(NHKメルトダウン取材班、抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c2bd167dc6d3d50130dfa87218916841143b27e

 

◆解説

日本の歴史上、最悪の環境事故と言える福島第一原発事故から10年となります。

10年を経てわかったこと、わからないことがあります。

2号機の格納容器が破壊されなかったのは、肝心なときに水が入らなかったり、
格納容器のつなぎ目の隙間から圧が抜けたりといった幾つかの偶然が重なった
公算が強い、とは驚きですね。

偶然に助けられた私たち日本人がこの事故で最も教訓とすべきは、「リスクを
直視する」ことです。「安全神話」に胡坐をかき、目を覆い耳を塞ぎ口を閉ざ
してきたことの報いで起きた事故だからです。

しかし、コロナ禍において政治家が「仮定の質問には答えられない」を連発す
るように、多くの日本人は何も学んでいないのではないでしょうか。

残念ながらそれは政治家だけではありません。

環境安全衛生の緊急事態対応においても、最悪の事態を考えず、構内に留まる
小規模漏洩のみを想定したり、避難訓練でお茶を濁している組織は枚挙にいと
まがありません。

本メルマガの読者の皆様には、「起きる筈がない」、「これまで大丈夫だっ
た」で済ませることなく、リスクや危機を直視していただきたいと願います。

 

★福島原発事故から10年を機に危機管理の見直しの必要性について「ESHエキ
スパート」で解説しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関で審査員教育用資料として
採用されています。

 

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■労働災害の真相

◆500キロの鉄板の下敷きに 22歳溶接作業員が死亡 責任追及する母親
ら遺族と会社の和解成立/和歌山 (2/26)

4年前、和歌山県由良町の工場で溶接作業中の男性が死亡した事故をめぐって
「安全管理が不十分だった」として遺族が会社側を訴えた裁判で、和解が成立
したことがわかった。

橋などを建設する「駒井ハルテック和歌山工場」の元従業員(当時22)は4
年前、溶接作業中に倒れてきた重さ約500キロの鉄板の下敷きになり、その
後、死亡した。

遺族らは事故当時、鉄板が倒れないようにクレーンでつるすことが作業手順に
定められていたのに、実際はクレーンが使われていなかったと指摘。会社側の
安全管理が不十分だったとして、会社や現場責任者らにあわせて約1億915
万円の損害賠償を求めて提訴していた。

原告側の代理人弁護士によると、会社側は遺族らに謝罪したうえで、今後、同
様の事故を二度と繰り返さないよう安全管理を徹底すると誓約し、解決金を支
払う内容の和解が25日付けで成立したという。

和解成立後の会見で、母親は「会社側から謝罪という言葉が出てくるまでに4
年がかかった。和解は終わりではない。会社は、事故への反省を肝に銘じてほ
しい」と話した。
(ABCニュース)

 

◆解説

同社は、橋梁、鉄骨、その他鋼構造物の設計、製作、建設を業とする東証一部
上場の立派な企業です。

2019年2月には次のような記事がありました。

2017年2月、倒れてきた大型部材の下敷きになり亡くなった男性社員の遺族が、
会社や工場長らを相手取り1億915万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。

提訴は2月20日付で、命日から2年の節目。母親は21日、東京・霞が関の厚生労
働省で開いた会見で、「裁判という場ですべての真実を明らかにするため、息
子の命日に提訴することにした。命はひとつ。労働者の命を軽視しないで」と
訴えた。

訴状などによると、被災者は2017年2月6日朝、橋の組み立て作業中に倒れてき
た部材(大型リブ、重さ約500キロ)の下敷きになった。頸椎と脳幹部を損傷
し、病院に搬送されたが、15日後に亡くなった。

本来は手順書(社内規定)に定めているとおり、部材をクレーンでつり上げて
固定した状態で組み立て作業をしなければいけなかったが、クレーンが外れた
状態になっていた。クレーンは、被災者が出勤していなかった2月4日に外して
移動させられていたという。

工場長ら従業員6人に手順書を守らなかったことなどによる不法行為責任が、
会社には使用者責任と安全配慮義務違反が成立すると主張している。

代理人の弁護士は会見で、「工場では毎朝ミーティングをするので、作業を把
握しているはず。クレーンでつり上げていれば発生しない事故だった。それを
怠ったために発生した悲惨な事故だ」と指摘した。

会見では、母親が、死亡した原因をめぐり被告らに事情を聴いた際に録ったと
する音声も流された。そのなかには、母親らが作業手順が間違っていたことを
被告のひとりにただすと、「これは、もう、完璧に認めます」との返答も確認
できた。

被災者の死亡については、御坊労働基準監督署が2018年10月に労災認定をして
いる。一方、弁護士によると、警察による捜査は2年間ほとんど進んでおらず、
書類送検すらされていないという。

労働災害の法的責任には、労働安全衛生法違反、業務上過失致死傷罪、そして
この記事のように本人やご遺族からの訴訟による民事責任があります。

もはや「怪我と弁当は自分持ち」という時代ではなく、欧米のように労働災害
においても訴訟は起こり得る時代です。

作業手順書を守らないことにより、企業のみならず一緒に作業していた方々も
責任を問われることがあり得ることを認識していただく必要があります。

 

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。

https://youtu.be/mhP1yavIxJk

 

★重篤災害が起きた際に企業が講ずるべき対応について「ESHエキスパート」
でご紹介しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

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■新着情報

・プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案の閣議決定

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 3件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 17件

 

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