オンラインセミナーのご案内
■■ ESHの解決策
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2021.3.24 No.515
企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
暖かい陽気に全国から桜の開花発表が相次いでいます。昔は桜といえば入学式
のイメージでしたが、だんだんと卒業式を彩る花に変わっていくのでしょうか。
先日、高1の娘が子宮頸がんワクチンを接種してきました。日本では2013年4月
に小学6年~高校1年相当の女子を対象に子宮頸がんワクチンを定期接種に組み
入れましたが、接種後に様々な症状が報告され、厚生労働省はわずか2カ月後
に「定期接種の積極的勧奨の一時差し控え」という決定を下しました。当初
70%以上だった接種率ですが、現在は接種率1%未満となっています。
日本で子宮頸がんによる死亡者は年間約2,800人とされています。大阪大学の
研究グループによると、接種率が大幅に低下した2000~03年度生まれの女性の
間で、患者は合計約1万7000人増加、死亡者は約4000人増加すると推計されて
います。一方、多くの先進国では接種が進み、オーストラリアでは10年後には
子宮頸がん患者を撲滅できるとまでいわれています。
新型コロナ対策において政府の対策は「非科学的」と批判されていますが、子
宮頸がんワクチンについても、いつまでも「一時差し控え」を続けているうち
に守れる命が失われるかもしれないことが残念でなりません。(門)
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◆オンラインセミナーのご案内
弊社では、4月より安全衛生アカデミー「オンラインOHSエキスパート養成コー
ス」を開講いたします。
昨年も多くの方々にご参加いただきご好評をいただきましたオンラインセミ
ナーを6回シリーズで体系的にお伝えし、労働安全衛生の”エキスパート”と
して力量を向上していただくアカデミーとなります。
初回は4/23(金)に開講します。単発でも受講可能です。
詳細は次のサイトをご覧ください。
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ご参加をお待ちしております。
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■環境不祥事の教訓
◆火災事故2件
■延岡市の旭化成レオナ工場で火災 けが人なし 19年前の同じ日にも火災/
宮崎 (3/12)
12日午後、延岡市にある旭化成のレオナ工場敷地内で火事があった。けが人は
なかった。
旭化成延岡支社によると、12日午後1時20分ごろ延岡市長浜町にある旭化成延
岡支社レオナ樹脂・原料工場の敷地内から出火し、電気ケーブルなどが燃えた。
火は工場の自衛消防隊によってすぐに消し止められ、およそ20分後に消防が鎮
火を確認しました。けが人はいないという。
また、この工場では乗用車などで使われる樹脂製品を扱っているが、火事によ
る工場の稼働や周辺住宅への影響はないという。消防は、タンクの溶接工事中
にガス管の一部が破損し漏れたガスに引火した可能性があるとみて調べている。
旭化成レオナ工場では19年前の3月12日、放射性物質が保管してある建物で火
災が発生し、一時、9000人以上の住民に避難勧告が出された。
(宮崎放送)
■ルネサス、一部半導体の生産停止 工場火災で対策本部/茨城 (3/20)
半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で火
災があり、同社は20日までに緊急対策本部を設置した。午後9時時点で、最
新鋭の工場棟で半導体生産が停止しており、再開のめどは立っていない。世界
的に半導体が不足する中、再開が遅れれば、車載用半導体の需給がさらに逼迫
(ひっぱく)する恐れがある。
ルネサス広報によると、火災が起きたのは直径300ミリメートルの半導体ウ
エハーに対応したN3棟と呼ばれる工場棟。自動車の走行を制御する半導体
「マイコン」などを生産している。
半導体製造装置で過電流が起き、火災につながったという。N3棟1階にある
クリーンルームの約5%に当たる約600平方メートルが焼けた。N3棟全製
造装置の約2%に当たる装置11台も被害を受けた。人的被害はない。N3棟
以外の工場棟は稼働中で、出荷を続けている。
那珂工場は自動車向け半導体などを生産する主力工場。火災は19日午前2時
47分ごろに発生し、午前8時すぎに鎮火した。那珂工場は2月の福島県沖地
震後も一時的に生産を停止した。
ルネサスは「多くの方々に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしていることを深
くおわびします」とのコメントを発表した。
(時事ドットコム)
◆解説
社会に重大な影響を与える火災事故2件について考察します。
1件目の旭化成ですが、多くの読者はご存じのとおり、昨年10月に同社のグ
ループ会社の半導体工場で火災が発生し、自動車部品メーカーや音響機器メー
カー向けの半導体を生産できない状態が続き、サプライチェーン全体に影響を
及ぼしていました。
その半導体生産の一部を生産支援していたのが、2件目の火災の発生元である
ルネサスエレクトロニクスでした。
この2社の製造停止により半導体は相当ひっ迫すると懸念されています。
1件目の記事にありますとおり、同工場では19年前の同じ日、2002年3月12日に
も火災が発生しました。
その際には、センサーの一部にコバルト60が使用されていたこともあり、近隣
住民9407人に避難勧告が出されたのです。
まったく同じ3月12日に再び火災が発生するとは何とも皮肉なことです。
この火災事故については、書籍『工場はなぜ燃えたか?』(丸田 敬)にも記
述されています。
その原因は、「巻き取り機における電気系のトラブルにより発火し、ケーブル
などを介して延焼したものと推定される」と発表されました。
「工場はなぜ燃えたか?」は2005年に出版されていますが、プラントの老朽化
とメンテナンスの脆弱性に問題があると説いています。この本の出版から15年
以上が経過し、日本の工場はますます老朽化が進んでいます。
また、『2020年版ものづくり白書』においても、「設備投資について見ると、
設備の老朽化が進み、昨今の情勢不安を受けて今後も積極的な投資が見送られ
ることが懸念される」と記されています。
頻発する工場火災は、国内に投資できず老朽化する設備と、技術者の高齢化に
よる力量低下という日本企業の弱体化とが大きな原因であると考えられます。
困難な状況下ですが、火災事故が発生すると当該企業はもちろんサプライ
チェーンにも重大な悪影響を及ぼすことを忘れずに、その予防に注力すること
が必要です。
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■労働災害の真相
◆新潟市内の工事において発生したガス引火事件で群馬県の工事業者と現場監
督責任者を書類送検 (3/18)
新潟労働基準監督署は18日、機械器具設置工事会社および同社現場監督責任
者A(55歳男性)を、引火性・可燃性ガスが溜まった場所で火気を使用し作
業員4人が火災熱傷を負った事件で新潟地方検察庁に書類送検した。
事件の概要は、2020年8月31日、新潟県新潟市東区下山の新潟浄化セン
ターNo.1浮上濃縮機修繕工事において、機械に付着した油を除去するなどの
ためにスプレー式洗浄剤(パーツクリーナー)を使用した後、浮上濃縮機の
シャフトを外すため、シャフト端部の固着したネジを外そうと携帯用ガスバー
ナーで炙り、溜まっていたガスに引火して関係作業員4人が中程度の火災熱傷
を負ったというもの。
労働安全衛生法による規定では、易燃性の物体や危険物が存在して火災や爆発
が発生する恐れのある場所では火気を使用してはいけないことになっているが、
当時はそのような措置が講じられていなかった疑いがある。
(にいがた経済新聞)
◆解説
この送検事例には驚きました。
それは労働災害の原因となったのが、スプレー式洗浄剤(パーツクリーナー)
1本だったからです。
記事にその大きさまでは記されていませんが、一般的には容器の容量が1リッ
トル未満の小さなものだと推察されます。
本件に適用されたのは次の条文だと考えます。
労働安全衛生規則
(危険物等がある場所における火気等の使用禁止)
第二百七十九条 事業者は、危険物以外の可燃性の粉じん、火薬類、多量の易
燃性の物又は危険物が存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所におい
ては、火花若しくはアークを発し、若しくは高温となつて点火源となるおそれ
のある機械等又は火気を使用してはならない。
「法令の対象はどのくらいの量か」というご質問を頂戴することは良くありま
すが、スプレー缶1本と言えども労働災害に至れば法的処分を受ける可能性が
あることが本事例で明確になりました。
ちなみにスプレー式洗浄剤500ミリリットル缶1本をすべて放出した場合は、最
大で約9立法メートルの空気を爆発性とすることが可能です。
(シクロヘキサン100%、爆発下限界1.3%で計算)
スプレー缶まで管理の対象とすることは厄介ですが、化学的にも法的にもリス
クが高いことを認識してご使用いただくことが重要です。
スプレー缶を自社の化学物質リストに登録している企業は少なくありません。
事業所内でいつの間にか化学物質の種類や量が増えてしまうことを防ぐために
は登録制にすることが必要です。
この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。
★下請業者が事業所に化学物質を持ち込む際の管理プロセスの事例(「危険有
害物質 持込・使用許可申請書」を含む)を「ESHエキスパート」でご紹介して
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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める
◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活!今日の言霊
デスクは「物置」ではなく「まな板」
■新着情報
・動画『気候危機時代を生き抜く「気候変動×防災」戦略』の公開
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 5件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 22件
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