3人死亡倉庫火災、溶接工を書類送検 「迷走電流」容疑適用は初
■■ ESHの解決策
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2019.12.4 No.484
企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
いよいよ寒さも本格的になってまいりました。早いもので今年も残すところわ
ずか1ヶ月です。公私共に慌しい時期となりますので、皆さまくれぐれも体調
管理にはお気をつけくださいね。
さて先日、2019年の「新語・流行語大賞」が発表されました。年間大賞に選ば
れたのは「ONE TEAM」です。納得ですね。
「ONE TEAM」は皆さまご存知の通り、列島を沸かせたラグビーW杯日本チーム
のスローガンです。この言葉は業界問わず多方面で聞かれましたが、調査によ
ると、上司から部下へ使われることが多かったようです。
一方、若者は「あまり使わない」との声が多く、世代によって受け止め方が違
うようでした。私も昔、ラグビーの青春ドラマ「スクールウォーズ」に夢中に
なりましたが、「ONE TEAM」は特に中高年にグッと突き刺さる言葉なのかもし
れません。
来年も明るい話題の多い1年となることを願っています。(門)
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労働安全衛生コンプライアンス・CSR対策の決め手 (安全衛生選書)
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■環境不祥事の教訓
◆排水ポンプ3台故障していた 川崎市市民ミュージアム浸水 (11/26)
台風19号の影響で地下収蔵庫が浸水し、多数の所蔵品が水没した川崎市市民
ミュージアム(中原区)で、館内地階に22台あった排水ポンプのうち3台が
故障していたことが26日、市への取材で分かった。屋外に設置された大型ポ
ンプやその他の館内ポンプは正常に稼働していたことから、市は「故障による
(水没)の影響はほとんどなかったと思われる」としている。
市によると、地下搬入口前の駐車場エリアには雨水用の排水ポンプ2台(1分
当たり計2200リットル排出)を設けており、台風19号上陸時も稼働して
いた。しかし、同ミュージアムのある等々力緑地が広範囲で冠水し、あふれた
水がスロープから搬入口に流入。排水が追いつかず、搬入口のシャッターから
館内に流れ込んだとみられる。
館内地階には計11カ所に各2台ずつ汚水や湧水用の排水ポンプが設けられて
いたが、2017年11月に7台が故障していることが判明。同年度内に4台
は復旧したが、残る3台は未修繕のままだった。
3台はそれぞれ毎分600リットル、300リットル、500リットルの排水
能力があった。市は「3台とも同じ場所にもう1台の排水ポンプがあり、正常
に稼働していた。これまでに支障はなかった」としている。
地下収蔵庫には約26万点の所蔵品があり、絵画や浮世絵、映画フィルム、貴
重な漫画の原画などが収められていた。同館にしかない1点ものも多いが、被
害の全容はいまだにつかめていない。
(神奈川新聞)
◆解説
台風19号は広範囲に被害をもたらしましたが、先々号(11/6号)でもお伝えし
たとおり工場では化学物質の流出も相次ぎました。
また、9/4号でお伝えしましたが、8月の佐賀豪雨では、大規模な油流出が起き
ています。
気候変動の影響か、1時間に100mmを超えるような豪雨が珍しくない時代となり、
豪雨や洪水のリスクが高まっています。
水害への対応策において、本件は教訓とすべき事故だと言えます。
「2017年11月に7台が故障していることが判明したが、3台は未修繕の
ままだった」とのことで、不具合に気付いていたのに対策を怠ったことが残念
です。
しかし、これは珍しいことではありません。監査や審査では、点検をしている
のに不具合が放置されていることが散見されます。例えば、消防設備などが代
表的な例です。
点検が目的ではなく、維持・改善が目的であることを認識し、不具合が放置さ
れないシステムを構築することが重要です。
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しています!
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■労働災害の真相
◆3人死亡倉庫火災、溶接工を書類送検 「迷走電流」容疑適用は初 (11/25)
東京都大田区のマルハニチロ子会社の物流倉庫で2月に3人が死亡した火災で、
警視庁捜査1課は25日、溶接機の電流が予期しない経路を流れる「迷走電流」
が火災の原因だったと特定し、溶接作業担当の男性(64)を業務上過失致死な
どの疑いで書類送検した。同庁によると、迷走電流が原因の火災について業務
上過失致死罪で立件するのは全国で初めてという。
火災は2月12日午後1時半ごろ、大田区城南島の5階建ての倉庫で起き、5階部分
の約700平方メートルが燃えた。倉庫では食品を保管する冷凍機の入れ替え作
業に伴い、屋上で配管の溶接工事などが行われていた。倉庫には当時約60人が
いた。
作業員の書類送検容疑は屋上で作業中、アースなどで適切な電気回路を確保す
ることを怠って火災を発生させ、5階にいた40~50代の男性3人を死亡させた疑
い。
捜査1課によると、屋上で配管の「TIG(ティグ)溶接」の作業中に突然、約20
メートル離れた5階の壁から出火した。TIG溶接はタングステンの棒に電流を流
し、ガスを吹き付けながら高熱で材料同士をつなげる。
作業の際はアースや「渡り」と呼ばれる金属棒を使って溶接機の電流を安全な
経路に流す必要があったが、作業員は「(火災当時は)渡りを置き忘れた可能
性がある」と説明したという。
捜査1課は、電流が予期しない経路に流れた「迷走電流」が火災の原因の可能
性があるとみて捜査。当時の状況を再現実験したところ、溶接機から迷走電流
が起きた場合、離れた場所の電気ケーブルが過熱する状況を確認した。
同課は今回の火災の原因について迷走電流により電気ケーブルのチューブが過
熱し、周辺のウレタンに引火したと断定、溶接担当の作業員の過失を立件した。
迷走電流が発生した場合、作業中のエリアから離れた場所で出火することがあ
り、危険性は大きい。都内の建設会社の担当者は「迷走電流によるヒヤリハッ
ト事例は多い」と指摘する。
川崎市川崎区の事業所では2014年12月、溶接作業中に溶接機から約3.5メート
ル離れた電線をまとめるチューブが突然燃えた。作業員が消し止めけが人はな
かった。
チューブ周辺に火の気はなく、川崎市消防局が原因の研究を進めた。再現実験
によると、溶接機から流れた電流が迷走してチューブを通過し、チューブが過
熱して開始から約80秒後に出火した。
チューブの表面温度は最高で495度になった。この火災では作業員が溶接機の
アースの取り付け位置を誤ったことが原因と判明し、事業者が再発防止策を講
じた。
公益財団法人「市民防災研究所」(東京)の坂口隆夫理事は「迷走電流をはじ
めとして電気を使う作業には発火リスクがつきまとい、状況によっては大規模
火災につながる恐れもある。多くの作業員が出入りする工事現場では下請けを
含め、安全な作業手順の確認徹底が欠かせない」と話している。
(日本経済新聞)
◆解説
本メールマガジンの読者様の企業では工作室以外で溶接作業をすることは少な
いと思います。しかし、事業所内での工事として溶接作業が実施される例は多
いと考えられますので、この記事を採り上げます。
工事用の火気による火災は頻繁に起きており、組織は工事用火気を厳重に管理
する必要があります。
工事業者を適切に指導するためには、溶接に関する知識を持つことも必要とな
ります。
過去には、アースケーブル(帰線側ケーブル)を被溶接材の溶接点の近くに接
続しないために溶接作業者以外の作業者が感電死する事故も起きています。
しかし、本件のように迷走電流による火災は極めて珍しいと思います。
しかも溶接工個人が送検されている点も特異な事例です。
アーク火花による火災と共に迷走電流による火災もあり得ることを認識し、火
災と感電の防止に努めることが必要です。
工事業者に対する安全大会などでも是非とも紹介していただきたい災害事例と
言えます。
★工事現場における溶接作業の際のアース線接続の注意点を「ESHエキスパー
ト」で解説しています!
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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活!今日の言霊
やってしまった後悔はだんだん小さくなるが
やらなかった後悔はだんだん大きくなる
■新着情報
建設リサイクル法に係る全国一斉パトロールの実施結果
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説と参考事例紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 4件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 14件
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
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