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NO.512

15人死傷の工場爆発、原因は静電気 工場長ら書類送検/静岡

■■ ESHの解決策
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2021.2.10 No.512

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

すでに症状を感じ始めている方もいらっしゃるかもしれませんが、日曜日に関
東南部や九州などの8都県が「花粉シーズン」に突入したと発表されました。

メディア等でも特集が組まれているとおり、今年の花粉症対策は例年にも増し
て万全にしなければなりません。花粉症でかゆい目に触ることで感染リスクが
あるほか、くしゃみなど紛らわしい症状も出るときにどう対応すればよいかと
いう悩みもありますよね。

例年は気力で乗り切るという花粉症の方も、今年は上手に薬を頼ってみてはい
かがでしょうか?(門)

 

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■環境不祥事の教訓

◆無届け公共工事なぜ多発? 広島、書類送検された職員も (2/7)

土壌汚染を防ぐため、掘削などで土地の形質を変える際に必要な届け出をしな
いまま公共工事をしたケースが、広島県内の自治体で相次いで発覚した。2010
年度以降で770件以上。土壌汚染の有無は確認中だが、広島市では職員が書類
送検された。不手際が頻発した理由は何か。

県警は昨年11月、広島市発注の道路改良工事などで土壌汚染対策法(土対法)
が定める事前の届け出をしなかった疑いで、市職員を広島地検に書類送検した。

改正土対法が施行された10年以降、掘削や盛り土などで土地の形質変更が3千
平方メートルを超える場合、30日前までに知事(広島、福山、呉市は市長)へ
の届け出が必要となった。違反すれば3カ月以下の懲役や30万円以下の罰金が
科せられる。

広島市や関係者によると、県警は当時の課長級を含む工事に関わる職員ら17人
から事情聴取して十数人を書類送検し、地検は「情状全般を考慮した」として
全員を不起訴(起訴猶予)にした。

聴取の対象となった安佐南区地域整備課の小林靖課長は「法令違反は事実。現
在は対象工事をリスト化し、漏れがないよう業務にあたっている」と話した。

広島市では18、19年度に無届けが36件あった。一つの工事だけで3千平方メー
トルを超えないものも含まれる。国の通知では、年度や場所が違っても同一の
事業なら合算することが望ましいとされる。環境省の担当者は「土壌汚染調査
の機会をできる限り広くとらえる」と趣旨を説明する。

土対法を巡っては19年4月に国が各都道府県に注意喚起。島根県は同年中に調
査結果を公表した。広島市の事態を受けて、国は昨年11月10日付けで「再注意
喚起」を全国に通知した。

広島県内の他の自治体はその後、次々と調査結果を公表し、陳謝した。県262
件、東広島市72件、庄原市57件など、調査中の1町を除き、すべての市町で無
届けが判明した。

こうしたミスが全県的に起きたのはなぜか。「環境部への相談が不十分だっ
た」(福山市)▽「年度ごとの工事面積が3千平方メートル未満だと対象にな
らないと誤って認識していた」(庄原市)▽「災害復旧工事は該当しないと誤
解した」(呉市)――など、法律の認識や組織内の連携が不足していたことが
浮かんだ。

届け出がされていた工事もあり、担当者の理解不足の指摘もあった。ある自治
体幹部は「時代に合わせて色々な法改正が早くなっている。知識を高めなけれ
ば」と自戒を込めて話した。

県は昨年末、必要に応じて届け出の再提出などを求める通知を各市町に出した。
県発注の公共事業でも再調査の必要があるか、確認を進めている。県環境保全
課の河村敏成課長は「県として反省するしかない。二度とおこらないように対
応している」と話した。
(朝日新聞)

◆解説

この記事にもあるとおり、環境省は令和2年11月10日付けで土壌汚染対策
法に基づく届出等の義務について注意喚起通知を出しました。

この通知を受けて各自治体は調査を実施しましたが、その結果として多くの自
治体から違反が報告されています。

鹿児島県656件(発注の7割超が違反)、岡山県116件、香川県271件、熊本県
162件(約8割が違反)、浜松市52件(66%が違反)などが、形質変更の届出違
反をインターネット上で公表しています。

インターネット検索で見つからなかった自治体は、違反がなかったのか、調査
していないかなどは不明です。

企業を指導すべき自治体が7割、8割の届出違反していたとは信じ難いことです。

本件に対する岡山県の報道発表資料には、次のとおり記されています。

原因:
担当職員の認識不足による。

今後の対応:
・チェックリストなどを活用し、届出漏れがないよう徹底する。
・届出の状況を定期的に確認する体制を構築する。
・今回の事案を踏まえ、改めて法の遵守について周知徹底する。

読者の皆様はこれで再発が防止できると考えますか?

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■労働災害の真相

◆15人死傷の工場爆発、原因は静電気 工場長ら書類送検/静岡 (1/26)

2017年12月、富士市厚原の荒川化学工業富士工場で爆発が起き、2人が死亡、
13人が重軽傷を負った事故で、静岡県警は25日、当時の工場長(50代)ら7人
を業務上過失致死傷の疑いで静岡地検沼津支部に書類送検し、発表した。認否
を明らかにしていない。3年以上の捜査の末、事故原因を静電気による粉じん
爆発と結論づけた。

書類送検されたのは、当時、同社富士工場に勤務していた工場長や課長ら6人
と、業務委託契約を結んでいた協力会社「佐藤組」の社長(60代)。7人はい
ずれも危険物取扱者の資格を持ち、同工場での勤務経験が豊富だったという。

県警によると、7人は作業員に帯電防止用の作業着を着用させ、床に堆積(た
いせき)した粉じんを取り除かせるなど、静電気による粉じん爆発を防ぐ措置
や対策の指導を怠った疑いがある。事故の1年2カ月前にも同じ場所で小規模な
爆発があったことも踏まえ、注意義務があったと判断した。

事故は印刷インキ用の樹脂を製造する4階建ての工場棟で発生し、工場棟1棟が
全焼した。当時、工場棟1階では製品の原料を粉砕して発生する粉じんを保管
袋「フレコンバック」に詰める作業が行われていた。

県警は消防と実施した現場検証や爆発に関する実験、専門家の意見などを総合
し、原因を推定。空気中を舞う粉じんが帯びた、もしくは作業員の着衣などか
ら生じた静電気によって爆発が起きたと結論づけた。

消防の火災調査書類によると、ある作業員は「フレコンバック自体にあるアー
ス端子にはアースをとっていなかった」と証言。帯電防止用の作業服の着用指
示を受けていなかったとの証言もあったという。

また工場では、事故の半年前、粉じんによる爆発の危険性を調査していた。粉
じんが静電気による着火で激しい爆発を引き起こす危険性を把握し、対策を検
討中だったという。

荒川化学工業は事故後に調査委員会を設置。事故原因について県警と同じ結論
に達していた。一方で、静電気や粉じん爆発に関する理解が不足しており、粉
じんの堆積(たいせき)が爆発につながる認識はなかったとも説明していた。

今回の書類送検を受け、同社経営企画室は「事故に関しておわび申し上げます。
すでに再発防止策に取り組んでおり、今後は捜査機関の判断を待って対応を検
討していきます」としている。
(朝日新聞)

 

◆解説

この事故は、印刷インキ用樹脂製造棟において、爆発・火災事故が発生し、死
亡者2名、重傷者2名、軽傷者11名の人的被害、および製造設備、建物が損壊す
る物的被害を出したものです。

フレコンバック内の粉じん爆発を端緒に大規模な爆発・火災に至ったことは、
とても残念なことです。

しかし、同社の事故調査はとても充実したもので多くの企業の参考になるもの
です。

104ページにわたる報告書は、写真やデータが数多く掲載され、わかりやすく
纏められています。

可燃性粉体、可燃性溶剤を扱う企業は一読の価値のある報告書です。

ケーススタディにも利用できますので、是非とも参照されることをお薦めしま
す。

https://www.arakawachem.co.jp/jp/ir/document/news/20190626fuji8.pdf

ちなみに、同報告書に記された事故の流れは次のとおりです。

(1) FIBC内に粉じん爆発下限濃度以上となる粉じんがあった。
(2) FIBC内で静電気のコーン放電により,粉じんに着火した。
(3) FIBC内で着火した粉じんが,ダクトを経由して集じん機まで伝播した。
(4) 伝播した火炎により集じん機内で粉じん爆発(一次爆発)が発生した。
(5) 集じん機内の一次爆発により,爆発放散口から集じん機内の未燃の粉じん
を伴って火炎・爆風が噴出し,製造棟1階周辺の堆積粉じんを巻き上げ二次爆
発が発生した。
(6) 当該製造棟内にあった消防法危険物,可燃物のほか,爆風の影響により破
断した配管から漏えいしたキシレン溶液や熱媒油に引火・類焼し,火災が当該
製造棟全体に拡大した。

フレコンバックの中で起きた小さな粉じん爆発が、大災害に繋がったのです。
是非とも報告書をご一読ください。

災害自体は残念なことですが、同社の再発防止に向かう真摯な態度には敬意を
表したいと思います。

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。

https://youtu.be/QOmYAd25kMA

★静電気の発生源として考えられるフレコンバック内樹脂の”コーン放電”に
ついて「ESHエキスパート」で解説しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

進歩とは反省の厳しさに正比例する

■新着情報

・特化則「溶接ヒューム」に関する解釈等について

・ISO/PAS 45005:2020の発行

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 3件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 13件

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

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