無料メールマガジン詳細

NO.573

コカ・コーラの京都工場、機械に挟まれ社員死亡 労災事故で捜査

■■ ESHの解決策
■■—————————————————————–
2023.8.23 No.573

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

——————————————————————-

◆ご挨拶

熱戦を繰り広げてきた夏の甲子園も、いよいよ本日決勝戦を迎えます。史上
7校目の連覇を目指す仙台育英か、それとも史上最大ブランクとなる107年ぶり
の優勝を目指す慶應か、非常に楽しみな一戦となります。

勝敗以外にも慶應義塾高校の森林貴彦監督の指導方針が話題となっています。
「髪型自由」「長時間練習なし」「理想はノーサイン」など従来の高校野球と
は一線を画する方針で森林監督は、「選手個々の将来を見据えた成長、目の前
のゲームでの勝利、いずれも実現させるという困難なミッションから、指導者
は絶対に逃げてはいけないのです。それを続けていかなければ、高校野球の
意味、意義、価値はありません。」とその著書で述べています。

著書『Thinking Baseball ――慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す
価値”』(東洋館出版社)

非常に興味のある内容ですので、ぜひ読んでみたいと思います。(門)

 

———————————————————————-

◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ

「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか?」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など多くの方々に受講いただき、
高いご満足を頂戴しております。

詳細は次のサイトをご覧ください。

https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar

 

———————————————————————-

■環境不祥事の教訓

◆有害物質シアン流出の日本製鉄は「コンプラ意識欠如」…県が評価書公表、
意識改革求める (8/9)

日本製鉄の東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)の周辺で有害物質シアンが
検出されるなどした問題で、県は8日、一連の事案を分析した評価書を公表し
た。原因に「コンプライアンス意識の欠如」など3点を挙げ、日本製鉄に意識
改革や社員教育の見直しを求めている。

シアン流出は2022年6月、製鉄所周辺の川や水路で水が赤く着色し、数十匹の
魚が死んだことで発覚した。

その後の日本製鉄の調査で、<1>基準値を超えるシアンが検出されても、再測
定で「不検出」となった結果だけを県と君津、木更津、富津の3市に報告
<2>高い数値が出ても開示しない――といった不適切な事例が判明。17年8月
からの5年間だけでも、不適切な報告は59回に上った。

日本製鉄は昨年9月、再発防止策をまとめた報告書を策定。県は6回にわたって
有識者会議を開き、報告書の妥当性や事案の原因を検証。評価書の作成を進め
ていた。

評価書は問題の原因として、<1>有害物質に関するずさんなリスク管理など、
不十分な環境保全対策 <2>コンプライアンス意識の欠如。水質汚濁防止法、
県や3市と交わした協定に対する認識不足 <3>組織内外の連携不足――の3点
を指摘した。

具体的には、水質検査の不適切な報告を例に挙げ、<1>日本製鉄が報告を不要
とする誤った認識を持っていた <2>法令を確認する環境部門が機能していな
かった <3>水質測定を関連会社にほとんど委託していた――などと指摘。
「コンプライアンス意識が浸透していなかった」と断定した。

県は、日本製鉄が報告書で示した対策を不十分だと批判。評価書で、抜本的な
意識改革や、関連会社を含めた継続的な社員教育の見直しを求めた。さらに、
事業所内の排水に関わるリスクを把握し、事故や故障を前提とした対策を行う
よう要求した。

評価書は、一連の問題を水質検査の不適切な報告を含めた6事案に分け、原因
を明らかにした。

評価書によると、製鉄の過程で出るガスから硫黄分を除去する「脱硫液」の
保管タンクで、マンホールが破損。脱硫液が事業所外に流出し、着色水の問題
が起きた。マンホールの内側には、腐食を防ぐ処理が実施されていなかったと
推定されるという。

着色水の問題に関連して報告書は、脱硫液にシアンが含まれていることを日本
製鉄が知らなかったことも問題視した。着色水が流出した際、日本製鉄は問題
の大きさを正しく認識できなかったという。

22年7月には、着色水が流出した排水口とは別の排水口からシアンや基準を
超える窒素が検出された。評価書では、水質汚濁防止法に基づく届け出とは
異なるルートで、排水をしていたと指摘。仮設ポンプが脱落して高濃度のシア
ンを含む泥を巻き上げた結果、排水口での検出につながったとの見方を示した。

一方で、組織的な 隠蔽があったかどうかについては、評価書で結論を出すこ
とはできなかった。千葉海上保安部から捜査を受けていることを理由に、日本
製鉄側が有識者会議の質問に回答しなかったためだという。

県と君津、木更津、富津の3市は8日、日本製鉄に指導文書を交付した。水質汚
濁防止法や、県などと交わした協定に違反する点が多く見つかったと指摘。
法律や協定の順守を求めた。また、対策に取り組んだうえで、 進捗状況を
ホームページなどで積極的に公表するよう勧告した。

県庁では8日、熊谷知事が東日本製鉄所の野見山裕治所長に、指導文書を手渡
した。その後、報道陣の取材に応じ、「有害物質に対するずさんなリスク管理
があった」と苦言を呈し、「社を挙げて対策を着実に実施していただきたい」
と注文した。

野見山所長は報道陣に「地元の方には大変ご迷惑をおかけした。再発防止を
しっかりやっていく」と謝罪した。
(読売新聞)

◆解説

千葉県が8月に公表した報告書「日本製鉄株式会社によるシアン流出事案等に
係る報告等に対する評価書」の意義について、同報告書の”はじめに”では
次のとおり記しています。

県では、令和4年8月25日に日本製鉄に対し、水質汚濁防止法に基づく報告
徴収文書を交付するとともに、県、木更津市、君津市及び富津市の連名で、
環境の保全に関する協定に基づく改善指示文書を交付した。これを受けて9月
30日に日本製鉄から提出された、事故の発生や水質測定結果の不適切な取扱
い等についての原因や再発防止策に関する報告書について、その内容や対策の
進捗状況を9回にわたるヒアリングや立入検査により、詳細に確認してきたと
ころである。

令和5年1月に排水処理及び化学物質管理、魚類等の生態影響並びに企業コン
プライアンスに精通した6名の有識者からなる会議を設け、同年7月まで6回
にわたり会議を開催し、専門的かつ客観的な立場から示唆に富んだ多くの意見
をいただいた。

この評価書は、これら有識者の意見を踏まえ、日本製鉄から示された原因分析
や対策等に係る県の評価、一連の事案に対する県の対応等を示す。また、本評
価書の公表と併せて、同社に対して指導文書を交付することとし、その内容に
ついても示すものである。

企業が提出した報告書に対して、ヒヤリング、立入検査、有識者会議を通じて
詳細に確認し、評価書を公表するというのは異例中の異例と言っても過言では
ありません。

全65ページに及ぶ本評価書の総括である”一連の事案に関する評価の総括”
では、次のとおり記されています。

日本製鉄は、これまでも環境に係る教育を実施していたとのことであるが、
法に基づく届出をすることなく、シアンなどを含む排水を、それらを処理する
施設がない別系統に送水し続けていたこと(事案2)、長期にわたる水質測定
結果の基準超過、水質測定結果の不適切な取扱い(事案4)等、結果として
コンプライアンス教育が社員一人ひとりに浸透しておらず、長期にわたるコン
プライアンス意識の欠如や、法及び協定の認識不足に起因して、各事案が発生
していたことが確認された。

「コンプライアンス”意識の欠如”」、「法及び協定の”認識不足”」は抽象
的で、より明確な表現だと考えます。

★事故報告書で「認識不足」という表現を避けるべき理由を「ESHエキスパー
ト」で解説しています!

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関で審査員教育用資料として
採用されています。

 

——————————————————————–

■労働災害の真相

◆コカ・コーラの京都工場、機械に挟まれ社員死亡 労災事故で捜査(8/18)

18日午前6時15分ごろ、京都府久御山町田井のコカ・コーラボトラーズ
ジャパン京都工場で、社員の男性(32)が機械に挟まれているのを同僚が
見つけ、119番通報した。男性は搬送先の病院で死亡が確認された。

京都府警宇治署によると、男性は商品を運ぶ昇降機に乗って一人で不具合を
調べていたところ、昇降機が突如上方に動き出し、商品との間に全身を挟まさ
れたとみられる。同署は労災事故とみて調べている。
(京都新聞)

◆解説

別の記事では次のような表現もありました。

被災者は機械のメンテナンスを行う作業員で、事故当時はパレタイザーと呼ば
れる段ボール箱などを運ぶ機械の復旧作業を一人で行っていたということ。
作業中に機械が突然動き出して挟まれたとみられている。(読売テレビニュース)

機械の管理等の作業にあたっていた被災者は、『パレタイザーエリア』と呼ば
れる、段ボールで梱包された飲料をベルコトンベアーで運ぶ作業を担当してい
たということだが、何らかの理由でベルトコンベアーが止まり、その様子を
見に行ったところ、急に動き出し、挟まれたとみられている。(MBS NEWS)

メディアには正確な報道を期待したいところです。

また、被災者の実名を報道している記事も多く、その必要があるのか疑問に
感じます。

事故の直接的な原因は、ロックアウト・タグアウト(以下、LOTO)の不良だと
考えられます。サプライヤーにも厳しくLOTOを指導する同社で何故にこのよう
な事故が起きてしまったのか、今後の調査が待たれます。

 

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でも
お伝えしています。どうぞご覧ください。

★LOTOの状況を調査する際のチェックリストを「ESHエキスパート」でご紹介
しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

——————————————————————-

★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める

◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

こけちゃったわ
人生山あり谷あり、だから人生は美しいのよ

■新着情報

・貨物自動車の昇降設備の設置、保護帽の着用等に関する問答について

・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画

大手飲料メーカーで死亡災害、熱心に取り組んでいるのになぜ重篤災害が
起きるのか?
https://youtu.be/5U9FPk6tzlA

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 4件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 33件

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

——————————————————————–

本メルマガは、「ESHエキスパート」のダイジェスト版をお届けしています。
(2回/月:第一、第三水曜日発行)

■ 『ESHエキスパート』の詳細及びお申込みはこちらから
https://www.esh.co.jp/expert.html

——————————————————————–

★このメールマガジンを皆様にとってより良いものとするために、読者の皆様
のご意見やご要望をお待ちしております。是非ともお寄せください。

◇ info@esh.co.jp まで

——————————————————————–

★★★読者の皆様へESHデータバンクのご案内★★★

環境、安全衛生、ISO14001、ISO45001に関する有料の資料集サイト「ESHデー
タバンク」のサービス、好評提供中です。

トップページ

——————————————————————–

【発行元】
環境ワークス株式会社
https://www.esh.co.jp
発行責任者 黒崎

★このメールマガジン転送はOKですが
掲載された記事の内容を許可なく転載する
ことを禁じます。問い合わせ下さい。
Copyright 2009 環境ワークス株式会社
——————————————————————–

E-MAIL NEWSLETTER

企業の環境&OHS(労働安全衛生)担当者をサポートするメールマガジンです。
配信は毎月2回、有料メールマガジンの抜粋版としてお届けします。

ページトップへ