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NO.535

トラ、飼育員3人襲う 女性1人重傷 那須サファリ/栃木

■■ ESHの解決策
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2022.1.19 No.535

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

週末、南太平洋のトンガ沖で発生した海底火山の噴火の影響で、日本列島でも
太平洋側の広い範囲に津波警報・注意報が発令されました。テレビやラジオで
繰り返し注意が呼びかけられ、一部では避難指示が出されるなど、東日本大震
災の日のことが鮮明に思い出されてとても恐ろしい気持ちになりました。

四国地方で漁船が転覆・沈没したり、2日目を迎えた大学入学共通テストの一
部会場で試験を中止したり、鉄道の運行が見合わせとなったりするなどの影響
もありましたが、大きな災害とならず安心しました。

一方で1月17日、6,000余が犠牲となった阪神大震災から27年となりました。
この震災では、火災はもちろん、倒壊した家屋や家具の下敷きで亡くなる方も
多く、家具を固定しておくことの大切さなど防災の重要性を学びました。

地震大国の日本では誰でも被災者になりえます。辛い記憶は薄れていっても
災害から学んだ教訓は忘れずに伝えていかなければなりません。(門)

 

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◆事故調査・根本原因分析セミナー(2月25日)

弊社では、安全衛生スタッフや監査員・審査員向けにオンラインセミナー
【事故調査・根本原因分析】を2月25日(金)に開催します。
当日のご都合が合わない場合は動画での視聴も可能です。

本年8月開催の同セミナーでは、94.2%(大いに満足、満足)の高評価を頂戴し
ました。

受講された安全衛生スタッフ、コンサルタントの方々の声を一部ご紹介いたし
ます。

・インシデント調査は重要で体制や実施することをしっかり決めておくといい
と思えました。インタビューのやり方などは具体的に決められていないので勉
強になりました。しばらく対面式のセミナーに行っていなかったので、久しぶ
りに、他社の同じような立場の人の意見を聞けたのは楽しかった。
・インシデント調査(海外教育事例に学ぶ)の内容は、とても理解しやすいも
のでした。また、RCAの演習とRCAの発表で、参加者の方の分析内容を聞けたこ
とも大変参考になりました。ありがとうございました。
・インシデント調査とRCAを一体で考えることが再発防止に役立つことが分
かった。調査ではいかに事実を挙げておくかが重要あり、自グループの調査の
不十分さが今更ではあるが再認識できた。
・RCAの必要事項を知ることができた。初めて学ぶ内容でしたので、非常に有
意義でした。Teamsのブレイクアウトセッションでのなぜなぜ分析でのワーク
ショップが有益でした。
・改めて根本原因へたどり着くことの重要性を再確認できた。今後、出来る限
り根本原因を突き止め、対策を実施出来るように進めていきたい。
・インシデント調査の説明は調査項目からインタビューの注意点までカバーさ
れていて、わかりやすかった。RCA演習の時間が長めなのでよかった。

詳細は次のサイトをご覧ください。
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■環境不祥事の教訓

◆神奈川・綾瀬の川に流出の有害物質はメッキ工場の塩酸 貯蔵槽が老朽化し
て破損 (1/12)

綾瀬市本蓼川の事業所から蓼川に有害物質が流出した事故を巡り、同市は12日、
調査結果などを発表した。

市環境保全課によると、事故は8日、メッキ加工業の本社工場で発生した。
塩酸の貯蔵槽が老朽化などで破損して約20立方メートルが施設外にも流出して
一部は面する蓼川に流れ込み、川の水が茶色に変色しコイなど死んだ魚が浮い
た。
市は防災行政無線を通じて流域住民に注意を呼び掛け、下流の綾南公園内(同
市上土棚中1丁目)の親水施設を閉鎖した。

県と市は9日、同工場への立ち入り調査などを実施、塩酸は中和措置や希釈に
より河川環境への影響がほぼ見られない状況になった、という。回収した死ん
だ魚は12日までに480匹以上に達した。
(神奈川新聞)

◆解説

この会社は、同社のホームページによれば、資本金1千万円、従業員120名で、
ISO 9001は認証取得しているもののISO 14001は認証取得していません。

事故発生事業所は、1969年から操業しているようです。

塩酸タンクの老朽化による破損とみられていますが、それ以上の詳細は不明で
す。

本メルマガでもタンクの老朽化による流出事故は頻繁に取り上げていますが、
塩酸タンクであれば水質汚濁防止法上は点検の義務はありません。

一方で労働安全衛生法上は、特定化学設備に該当し、2年ごとの定期自主検査
が義務付けられています。しかし、多くの中小企業では特定化学設備である認
識もなく、検査が実施されていないのが実態です。

経営状況にもよりますが、多くの中小企業は経営資源に乏しく老朽化対応が困
難な状況にあります。

中小企業への発注者やISO審査員(9001と言えども)が適切な”外圧”を与え
ない限り、自律的な対応は難しいことでしょう。

発注企業には、サプライヤーCSR監査などで老朽化対応を指摘していただくこ
とと、理由もなく買い叩くことをせず、CSRを確実にし得る価格設定を期待し
ます。

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■労働災害の真相

◆トラ、飼育員3人襲う 女性1人重傷 那須サファリ/栃木 (1/6)

5日午前8時半ごろ、栃木県那須町の「那須サファリパーク」から「飼育員が
トラに襲われた」と119番があった。20代の男女計3人の飼育員がトラに頭や腕
をかまれるなどして負傷し、緊急搬送された。女性1人は右手首から先を失う
重傷という。

県警那須塩原署や同園によると、負傷したのは26歳と22歳の女性、24歳の男性。
飼育担当の26歳の女性がトラを屋外の展示スペースに出す準備作業中、獣舎と
屋外をつなぐ通路でトラ1頭と鉢合わせし襲われたという。叫び声を聞いて駆
けつけた2人も相次いで襲われた。

同園では、1997年と2000年にも飼育員がライオンに襲われる事故が発生して
おり、葛原直人支配人(46)は「飼育員の回復を願っている。原因究明をし、
二度と事故が起きないように万全の対策を取っていきたい」と述べた。事故を
受け、同園はしばらく臨時休園するという。
(毎日新聞、抜粋)

(続報)トラに襲われ3人けが 除雪作業影響で確認不十分か 団体調査 (1/12)

この事故を受けて、動物園などで作る日本動物園水族館協会が、再発防止策を
検討するため10日、現地調査を行ったことが関係者への取材でわかった。

今回の現地調査の結果、前日の担当飼育員2人は、当時、おりのある建物周辺
に雪が積もっていたため業務マニュアルの手順にない雪かきを行っていたこと
が新たにわかったという。

日本動物園水族館協会は普段行わない除雪作業に追われてトラがおりにはいっ
たかどうか確認が不十分になったとみて、事故原因と再発防止の指針を近くま
とめ、全国の動物園やサファリパークに注意喚起する方針。
(NHK NEWS WEB、抜粋)

(続報)事故前日に1人でトラ収容作業 獣舎への扉開け忘れとの見方 那須
サファリパーク・飼育員負傷事故 (1/15)

栃木県那須町の那須サファリパークで飼育員3人がトラに襲われ負傷した事故
で、飼育員が事故前日にトラを獣舎へ収容する際、マニュアルに定められた
2人ではなく、1人で作業していたことが14日、園への取材で分かった。

この飼育員は「トラを獣舎に入れたか覚えていない」と話しており、園はトラ
用通路と獣舎の間の扉を開け忘れ、トラを獣舎に収容しなかった可能性がある
とみている。飼育員がトラ用通路を通ることが常態化していたことも判明。
県警は複数の要因が重なって事故につながったとみて調べている。

園によると、事故前日の今月4日、2人の飼育員が展示スペースと獣舎をつなぐ
トラ用通路までトラを入れたが、1人は別の動物を収容するため「獣舎に(餌
の)肉を置いてトラを入れて」と指示し、先にトラ舎を出た。もう1人は肉を
置いたが、獣舎との間の扉を開けたかどうか覚えていないという。

マニュアルでは、2人で獣舎の中に入ったことを目視で確認することになって
いたが、確認が不十分となった可能性がある。トラが獣舎に入るのを嫌がるな
ど異常事態があった時は日誌に記録するが、そのような記録もなかった。

事故時、獣舎の餌は残った状態で、通路にはトラのフンが落ちていた。扉は
トラが開閉できる構造ではない。これらのことから、園は飼育員が通路と獣舎
の間の扉を開けなかったことで、トラが一晩中、通路に残されたとみている。

事故当日の5日朝は、女性飼育員がトラ舎内の獣舎を抜けて展示スペースへ
向かおうとして、トラ用通路でトラに遭遇した。捜査関係者によると、園関係
者は県警の聴取に対し「展示スペースへトラ舎を抜けて向かうこともよくあっ
た」などと話しているという。

トラ舎を抜けずに展示スペースへ出入りするための外部からの扉は壊れて使え
ない状態だったことも判明。県警はこうした複数の要因が重なって事故につな
がったとみて、業務上過失傷害容疑で捜査している。
(下野新聞)

◆解説

22歳の小動物担当の女性飼育員が手首から先を失う重傷を負った残念な事故で
す。

ひとたび災害が発生すると、次々と問題が明らかになることは本件に限ったこ
とではありません。

本件においては、
・扉が壊れていた
・獣舎の扉を開けなかった
・2人でトラが獣舎に入ることを目視確認をしなかった
・異常事態を日誌に記録していなかった

等々、どれか一つでも正しく出来ていれば災害は起きませんでした。正にスイ
スチーズモデルにおけるすべての穴が揃ってしまった状態です。

これまでも同様の不適切な対応はしていたと思いますが、今回は偶然たまたま
すべてが揃い事故に至ってしまったものです。事故が起きていないからと言っ
て「安全」(許容不可能なリスクがない)ではないのです。

もう一つ、私たちが教訓とすべきは、リスクアセスメント(RA)に関すること
です。本災害は、トラが「危険源」だということです。

多くの組織のRAは、危険予知(KY)の延長線上で実施されています。つまり、
自分たちが「危ない」と思ったところのみを取り上げています。

KYの延長線上ですので、どちらかというと重大性の低い危険源を取り上げがち
です。”原風景化”により、重大性の高い危険源がRAの俎上に挙がらないこと
も多くあります。

ご存知のとおり、ISO 45001が求めているRAでは、「危険源」を特定すること
がスタートです。「危ない」と思わなかったとしても「危険源」を特定するこ
とが重要です。

危険源は、よくトラやライオンに例えられます。噛まれれば死に至る可能性の
ある危険源です。もしネコが危険源であれば、たとえ噛まれたとしても小さな
怪我で済むのです。

RAで取り上げるべきは、ネコではなくトラやライオンです。

日本の安全管理は災害の数を重視し、欧米のそれは重大性を重視します。欧米
では労働災害は企業リスクの一つと考えているからです(被災者・ご遺族や株
主からの訴訟など)。些細な怪我はともかく、取り返しのつかない災害は起こ
してはならないのです。

愛知労働局の濱田勉氏は次のような言葉でRAに警鐘を鳴らしています。
・KYをどんなに進化させても、やがてRAになることはない
・「危ないと思ったところだけ点数付け手法」ではNG
・危険源が明記されていないRAシートは議題のない会議を開いているようなも

ネコには噛まれても仕方ありませんが、トラやライオンには絶対に噛まれない
ようにしましょう。これはとてもわかりやすい例えです。是非とも社員、クラ
イアント、審査員に伝えていただきたいと願います。

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。

★災害防止対策における「徹底」の難しさと航空業界に学ぶ「徹底」について
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・飼育員トラに噛まれ重傷 学ぶべき「徹底」
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・【大型ミキサーに挟まれ2人死亡】メンテ中に何が起きた
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■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 4件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 18件

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

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