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NO.439

ナトリウム漏れ検出器が一時停止 もんじゅ、運転員が操作ミス

■■ ESHの解決策
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                          2018.1.24 No.439

企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

週明け、関東甲信を含む広い範囲で大雪に見舞われました。東京でも20セン
チを超える積雪で各地で渋滞や路面凍結、停電など様々な影響がありました。

今後は厳しい冷え込みも予想されており、引き続き、外出の際は十分に気をつ
けてくださいね。

雪が降ると厄介なのが雪かきですよね。雪かきのたびに腰を痛めるので、我が
家ではキャスター付きの雪かき機を導入してみました。さらさらとした雪には
効果的で楽に除雪することができましたが、圧雪には歯が立たず、スコップの
出番となりました。

腰は痛めずに済みましたが、腕はひどい筋肉痛です。雪の多い地域にお住まい
の方々には叱られてしまうかもしれませんが、今冬はもう雪が降らないことを
祈るばかりです。(門)

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■環境不祥事の教訓

◆ナトリウム漏れ検出器が一時停止 もんじゅ、運転員が操作ミス (1/12)

日本原子力研究開発機構は11日、廃炉が決まっている高速増殖原型炉もんじ
ゅ(福井県敦賀市)で、抜き取った1次系ナトリウムを貯留するタンクが設置
された原子炉建物内の部屋のナトリウム漏れ検出器が運転員の操作ミスで停止
したと発表した。

タンク室内の監視機能を失ったと判断し、保安規定で定める「運転上の制限」
を逸脱したが、約3時間後に復旧した。ナトリウム漏れなどはなく、周辺環境
への影響はないとしている。

原子力機構によると、同日午後3時16分ごろ、別の部屋のナトリウム漏れ検
出器の停止作業中、運転員が止める必要のないタンク室内のガスを採取する検
出器用の配管の弁を誤って止めた。検出器も止まり、代替の監視機能がないた
め同22分、運転上の制限の逸脱を宣言。その後、機器に異常がないことなど
を確認し午後6時28分に逸脱から復帰した。

一連の操作はAループのナトリウムの抜き取り作業の一環で、原子炉補助建物
内の制御盤室で運転員が操作指揮者と2人で遠隔で操作していた。制御盤には、
作業に使う弁やポンプのスイッチの近くに、誤って停止させた弁のスイッチが
あった。

◆解説

以前に化学プラントの爆発事故で、停止してはならない撹拌装置を停止したこ
とが爆発の原因であった事例もお伝えしたことがあります。

多くの企業では停止してはならないスイッチやバルブには表示やロックが施さ
れています。

本件のような、検出器のサンプリングバルブも、停止/閉止してはならない箇
所となります。

ヒューマンエラーを防止するためにはバルブの位置も問題ですが、まずはバル
ブへのロックアウト・タグアウトを考慮すべきです。

米国の火災保険会社の監査では、スプリンクラーや消火栓の元バルブは、誤っ
て閉止されることがないよう施錠することが求められます。

まずは、停止/閉止してはならないスイッチやバルブを洗い出すことを推奨し
ます。

★ヒューマンエラー防止として有効な「エラープルーフ化発想チェックリス
ト」を「ESHエキスパート」でご紹介しています!

【ESHエキスパート】 → http://www.esh.co.jp/expert.html

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   採用されています。

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■労働災害の真相

◆外国人実習生3年で22人労災死 国全体より高い比率 (1/14)

労災による死亡と認定された外国人技能実習生が2014~16年度の3年間で計22
人に上ることが14日、厚生労働省のまとめで分かった。大半が事故とみられる
が、過労死も1人いた。政府統計で実習生の労災死の実態が明らかになったの
は初めて。労災保険の給付対象となる休業4日以上の労災件数は3年間の平均
で年475件だった。

実習生は職種が限られており、労災死比率が日本の雇用者全体の労災死比率を
大きく上回っている。実習の名の下に日本人より危険で過酷な労働を負担して
いる現実が示された。

厚労省によると、死亡した実習生のうち労災認定されたのは14年度が8人、15
年度が9人、16年度が5人。労働基準監督署に報告があった実習生の死亡事案
の中で、労災認定されたものを集計した。実習生の国籍や都道府県別の人数は
不明。

法務省によると、実習生の数は14年16万7641人、15年19万2655人、16年22万85
89人。集計が年と年度で違うが、単純計算すると3年間の労災死は10万人当た
り3.7人になる。

一方、日本全体では厚労省の集計で14~16年の労災死は計2957人。総務省統計
局による雇用者数の3年間合計(1億6964万人)で計算すると、労災死は10万
人当たり1.7人。

実習生の仕事は農業、機械加工など70余りの職種だけという違いはあるものの、
差が大きい。

実習生に詳しい自由人権協会の旗手明理事は「慣れない日本の労働現場、しか
も労働安全衛生への意識が低い中小企業で働くことが多い上、実習生は日本語
での意思疎通がうまくできない」と労災が多い背景を分析。「けがで働けなく
なった実習生を強制帰国させるケースもあり、労災隠しは横行している」と話
す。
(日本経済新聞)

◆アップル供給業者の中国工場、マスクなしで有害物質扱う-人権団体 (1/1
7)

米アップルの「iPhone(アイフォーン)」ケース製造などを手掛ける台
湾の可成科技(キャッチャー・テクノロジー)は上海から車で6時間の距離に
ある江蘇省宿遷市に工場を持っているが、同工場の労働者らは劣悪な労働環境
に置かれている。

アイフォーンケース製造のため金属の切断や表面処理などを行っている暑い作
業場で、従業員らは一日最大10時間立って作業し、時には手袋やマスクを付け
ずに有害化学物質を扱っている。

労働者の権利擁護団体である「チャイナ・レーバー・ウオッチ(CLW)」の
16日の報告や、ブルームバーグの可成科技従業員へのインタビューで明らかに
なった同工場の労働環境は世界2位の中国経済を支えるハイテクブームの陰の
部分を示している。中国人の採用担当者は所得や教育水準が低い層を中心に、
最先端の家電製造をうたい文句にして雇い入れている。これらの労働者なしで
はアイフォーンなどの機器生産は不可能だ。

ブルームバーグのインタビューによれば、作業員らはゴーグルや耳栓をいつも
使えるわけではないため、機械の騒音や、金属微粒子などの噴射から身を守れ
ない場合がある。

アップルの広報担当は、自社従業員を可成科技の施設に配置しているが、CL
Wの報告書が近く公表されると聞いて同工場に別のチームを派遣し150人に対
面調査した結果、自社基準に違反した証拠は得られなかったと述べた。可成科
技は別の発表資料で、独自に調査を行ったが、アップルの行動規範違反を示す
ものは見つからなかったと説明した。可成科技は売り上げの約3分の2をアッ
プルから得ている。

これに対しCLWは、不十分なコミュニケーションや有害物質取扱いリスクな
ど14の点でアップルの「サプライヤー責任」の基準に違反があったと指摘して
いる。
(Bloomberg News)

◆解説

一つは日本の外国人技能実習生が3年間に22人も労災で死亡していたというシ
ョッキングな記事、もう一つはアップル社の中国のサプライヤーで作業者が劣
悪な環境で働いているという記事です。

あまり関連がないように感じられるかもしれませんが、サプライヤーCSR監
査という観点から考察します。

ちなみに、多くのグローバル企業や電子業界、製薬業界など業界団体のCoC
(Code of Conduct:行動規範)の要素は次のとおりで、労働安全衛生も含ま
れます。

CSR = EHS + 労働・倫理 + マネジメントシステム

【外国人技能実習】

外国人技能実習制度は、「外国人技能実習機構」(以下、OTIT)が主管してい
ますが、同組織は、法務省、外務省、厚生労働省の外郭団体です。

筆者が某欧州企業の依頼により日本のサプライヤーのCSR監査を実施した際
に、監査依頼者から何度も確認を受けたのが外国人技能実習制度でした。

彼らの主張は、同制度は違法であり、CoC違反だというのです。

違法:例えばプレスの実習に来ていても、それ以外の仕事をさせている
違反:最低賃金で働かせていることも多く「同一労働同一賃金」に反する

同制度に関してOTITのホームページでは次のとおり記述があります。

「技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等へ
の移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与する
ことを目的として創設された制度です。

技能実習法には、技能実習制度が、このような国際協力という制度の趣旨・目
的に反して、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保等として使われること
のないよう、基本理念として、技能実習は、
①技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が
技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わな
ければならないこと、
②労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと
が定められています。

筆者は、同制度は法務省、外務省、厚生労働省が管轄していると回答しました
が、実態は明らかに多くの問題を包含しています。

【アップル社のサプライヤー】

アップル社やEICC(電子業界CSRアライアンス)のサプライヤーCSR監査では、
ISOの審査とは比較にならないほど厳しい監査をしています。

例えば、外国人研修生を含めた寮の一部屋当たりのベッド数の制限や防災設備
(誘導灯、消火器の設置)まで監査の対象となります。

監査は、可能な限り実態を把握するよう、監査中の従業員インタビューが義務
付けられています。対象とする従業員のサンプリング数も厳格に定められてい
ます。

記事には、「工場に別のチームを派遣し150人に対面調査した結果、自社基準
に違反した証拠は得られなかった」とあります。

それでも実態が把握できないとしたら、社員に対してかなり厳しい締め付けが
あるのかもしれません。

二つの記事から日本のCSRマネジメントのガラパゴス化が懸念されます。

グローバル企業は、CSRリスクを回避するため厳しい監査を実施しています。
日本企業もグローバルにビジネスを展開するのであれば相応のマネジメントが
必要となります。

★CoC基準の例としてApple社の「Apple Supplier Responsibility Standard
s」を「ESHエキスパート」でご紹介しています!

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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める

◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

 自分にもっとやさしくなってもいいのよ

■新着情報

 ・有害物ばく露作業報告の対象

 ・産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成27年度実績)

■環境不祥事の教訓

 より詳細な解説と参考事例紹介

■労働災害の真相

 より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

 全国の事故・事件情報 5件

■労働災害レポート

 全国の労働災害・書類送検情報 22件

【ESHエキスパート】 → http://www.esh.co.jp/expert.html

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