地下駐車場CO2事故 責任者、仕組み誤認か「作動しないかと…」
■■ ESHの解決策
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2022.4.20 No.541
企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
新型コロナウイルス感染者数が高止まりのまま、間もなく3度目のゴールデン
ウイークを迎えようとしています。
ウィズコロナが浸透し、エイチ・アイ・エスの調査ではGW期間に国内旅行を
計画している人は前年同期比126%だそうです。中でも、3位の大阪府は前年比
439%と驚きの数字。ユニバーサルスタジオジャパンが人気スポットなのだと
か。
一方で大型連休の後は感染者数が増える傾向にあります。人混みに出掛ける際
には感染対策を心掛けたいですね。(門)
☆発行日のお知らせ
GW期間と重なるため、5月の発行日は次のとおりとなります。また、それに
伴い6月の発行日も変更させていただきます。予めご了承ください。
・5月11日(水)・25日(水)
・6月8日(水)・22日(水)
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◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ
「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか?」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など延べ178名にご参加いただき、
92.7%のご満足を頂戴いたしました。
多くの方々から今年度の受講希望や録画受講希望を頂戴したため、昨年度セミ
ナーの録画受講のシステムを構築し受付を開始いたします。
詳細は次のサイトをご覧ください。
https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar
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■環境不祥事の教訓
◆3号機ヨウ素漏えいはピンホールと推定/佐賀 (4/15)
佐賀県の玄海原発3号機で去年11月、冷却水から放射性物質のヨウ素が漏えい
していた問題で、九州電力は、14日、「漏れた量はわずかと考えられる」と
する調査結果を公表した。
ヨウ素漏えいが判明していたのは、1月から定期検査が行われている玄海原発
3号機の原子炉にある燃料集合体1体。
中にある燃料棒の1本からヨウ素の漏えいが確認されたが調査の結果、燃料棒
に損傷や腐食などの異常はなかったという。
九電はピンホールという極めて小さな穴から漏れ出たとみているが、漏れた量
は微量で、環境への放射能の影響はないとしている。
ピンホールが生じた理由はわかっておらず、九電では漏えいが起きた燃料集合
体を今後再使用しないという。
(九州朝日放送)
◆解説
昨年11月、原子炉を冷やす1次冷却水で放射性物質のヨウ素濃度が上昇してい
ることが判明しました。
九電は1月に始めた定期検査で、燃料集合体193体についてヨウ素の漏えい調査
を実施していました。
その結果、燃料集合体にピンホールが発見されたということです。
「ピンホール」とは、針でついたほどの小さな穴という意味です。多くの組織
では水道管を含め配管を使用していますが、液体やガスの配管にとってピン
ホールを含む腐食を防ぐことは環境リスク対策においてとても重要な課題です。
配管腐食のメカニズムはとても難しいのですが、装置や配管のうちでも鉄製は
特に腐食対策が重要です。
そもそも鉄がどうして腐食する(錆びる)のかをご存じでしょうか。
自然界の鉄は、酸化した“錆”(酸化鉄)の状態で鉄鉱石として存在していま
す。
私たちは、この鉄鉱石を精錬(酸素を失う:還元)して“鉄”として使用して
いるのです。
鉄を放置すると水(水が溶けた酸素を含む)に接することで腐食(水と酸素と
結合:酸化)して、最も安定した状態(酸化鉄)に戻ろうとします。
この現象が腐食であり、自然の摂理でもあります。
環境マネジメントに関わる方々も腐食に関する最低限の知識を持つと良いと
考えます。
★「腐食」のパターンと監査・パトロール時のポイントについて「ESHエキス
パート」で解説しています!
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☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関で審査員教育用資料として
採用されています。
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■労働災害の真相
◆地下駐車場CO2事故 責任者、仕組み誤認か「作動しないかと…」 (4/13)
東京都新宿区のマンション地下駐車場で2021年4月、消火設備が突然作動し、
放出された二酸化炭素(CO2)を吸った男性作業員4人が亡くなった事故で、
現場責任者の男性が警視庁に「起動ボタンを押さなければ消火設備は作動しな
いと思っていた」と説明していることが捜査関係者への取材で判明した。実際
はボタンを押さなくても感知器が熱と煙に反応すれば動く仕組みだった。同庁
捜査1課は現場責任者らの誤った認識などが事故につながった可能性が高いと
みて業務上過失致死傷容疑で捜査している。
捜査関係者によると、地下駐車場の天井には消火設備の感知器が12カ所あり、
うち8カ所は熱、4カ所は煙に反応する構造だった。設備は熱と煙の両方を検知
すると火災が発生したとして二酸化炭素を放出し、酸素濃度を下げることで
延焼を防ぐ仕組みになっていた。事故では、最初に熱の感知器、約2時間半後
に煙の感知器が反応して設備が作動したとみられる。
当時、作業員らは複数の感知器を取り外し、天井板の交換後に再び感知器を
付け直す手順で作業をしていた。捜査関係者によると、熱の感知器を手袋など
をした状態で持つと熱がこもり、再び取り付けた際は感知器が熱を検知した
状態だった可能性が高いことが分かった。また、作業員が煙の感知器の設置場
所に、誤って熱の感知器を取り付けていたことも判明。同様に熱を検知した
感知器を付け直したことで、煙が出たと判断されたとみられる。捜査1課は、
熱を検知した二つの感知器を熱と煙の感知器があった場所にそれぞれ取り付け
たことで、設備が作動した可能性があるとみて裏付けを進めている。
一方、作業中は二酸化炭素の放出を防ぐ閉止弁は閉められていなかったほか、
設備の電源は入ったままだったという。
放水などによる消火と異なり、二酸化炭素の放出で対応する消火設備は、電気
系統の機器が鎮火後も使えるという利点がある。総務省消防庁によると設置数
は21年4月末時点で1万4885件に上る。同設備を巡る死亡事故は、今回を含めて
20年12月~21年4月に3件発生。同庁は21年5月から有識者会議で議論し、今年
3月、工事などのために二酸化炭素が放出されるエリアに入る場合は弁を閉め
ることや、点検や工事の安全手順を記した文書を備え付けることなどの再発防
止策をまとめた。
(毎日新聞)
◆解説
昨年4月にマンションの地下駐車場で4人の工事作業者の方が亡くなった災害は
記憶に新しいところです。
「起動ボタンを押さなければ消火設備は作動しないと思っていた」という作業
責任者の証言は驚きですね。現場責任者が作業現場のリスクを把握せずに作業
することはありえないことです。
「現場責任者」とは、建設業法における「監理技術者」や公共工事において
国土交通省が策定した『公共工事標準請負約款』で配置が義務付けられている
「現場代理人」などを総称した言葉です。
安全管理のみならず、品質管理、工程管理(施工計画に基づく)、下請管理な
ど工事の要となる重要な役割を担います。
その現場責任者が現場のリスクを認識していないことは、労働安全衛生マネジ
メント上、重大な欠陥となります。
現場責任者の力量を確実にし、現場責任者と現場従事者が現場に存在する危険
源を認識し、そのリスク管理策を確実に履行することが重要です。
本メルマガの読者の多くは、工事業者を管理する立場の方です。
ISO 45001においても箇条8.1.4.2で次の事項が求められています。
8.1.4.2 請負者
組織は、次の事項に起因する、危険源を特定するとともに、OH&Sリスクを評価
し管理するために調達プロセスを請負者と調整しなければならない
自社社員が工事するにしても工事業者に委託するにしても、リスクアセスメン
トを実施してリスクを認識したうえで作業することを確実にしていただくこと
が不可欠です。
なお、この地下駐車場は、「コンファインドスペース」(閉鎖空間)に該当し
ます。
コンファインドスペースに関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカ
デミー」でもお伝えしています。どうぞご覧ください。
★この災害を教材としたリスクアセスメントの事例を「ESHエキスパート」で
ご紹介しています!
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める
◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活!今日の言霊
確実に幸福な人となるただ一つの道は人を愛することだ
■新着情報
・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画
世界標準コンファインドスペースとは?酸欠則と何が違うのか?
https://youtu.be/dpcrzEL6bzE
死亡労災訴訟で7700万円の損害賠償判決、安全配慮義務違反とは
https://youtu.be/hOvPy7SBb8k
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 2件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 22件
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
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(2回/月:第一、第三水曜日発行)
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のご意見やご要望をお待ちしております。是非ともお寄せください。
◇ info@esh.co.jp まで
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