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NO.383

有害スラグの闇:大同特殊鋼「再生資材」強制捜査 企業と行政の「共依存」関係/群馬

■■ ESHの解決策
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                          2015.9.16 No.383

企業の環境&安全衛生、ISO14001、OHSAS18001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

台風18号の影響による記録的な大雨は、関東北部や東北地方の一部に甚大な
被害をもたらしました。水は引きましたが、大量のがれきなど、復旧に向けて
まだまだ大変な状況が続きそうです。被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申
し上げます。

秋雨前線付近で雨雲が活発化し、本日夕方から17日(木)にかけて、茨城や
栃木にまとまった雨が降る恐れがあるそうです。今後の雨の降り方に十分注意
してください。(門)

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★ISO14001:2015発行

9/15・ISO14001:2015 が、正式に発行されました。

なお、日本語のJIS規格は11月に発行される予定です。

認証組織は、3年以内に2004年版から2015年版に移行する必要があります。

今後、本メールマガジンでも解説をお伝えして参る予定です。

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■環境不祥事の教訓

◆有害スラグの闇:大同特殊鋼「再生資材」強制捜査 企業と行政の「共依
存」関係/群馬 (9/13)

有害スラグを無許可で建設資材に再処理したとして県警の強制捜査を受けた
「大同特殊鋼」は問題発覚前、毎日新聞の取材に対し、安全管理に自信を見せ
ていた。有害スラグが拡散した背景には、法令や環境への影響を軽視して利潤
追求に走る企業と、原状回復に向けた取り組みに消極的な行政との「共依存」
関係が見え隠れする。

「スラグにフッ素含有は避けられない。うちは特殊鋼メーカーだから、どうし
ても含まれる」。2013年11月、大同渋川工場の環境室長は取材に応じ、
有害物質の含有をあっさり認めた。渋川工場では金属精製の過程で不純物を取
り除く目的で蛍石(フッ化物)を添加するため、フッ素が発生する。環境室長
は「天然砕石と混ぜてフッ素を低減化している」と胸を張った。

環境省は「有害物質を希釈するための混合は認められない」との立場で一貫し
ている。県も11日の会見で「01~03年にフッ素に関する土壌環境基準の
設定や土壌汚染対策法の施行があり、鉄鋼業界は対策を取ってきた。しかし大
同渋川工場はフッ化添加を止めず、スラグの大半が基準を超えるフッ素を含む
と知りながら出荷を続けた」と指摘した。

県のまとめでは、225カ所の公共工事で大同のスラグが使用され、渋川市5
2▽前橋市29▽長野原町8▽吉岡町2▽榛東村1▽みなかみ町1の計93カ
所から環境基準を超える有害なフッ素や六価クロムが検出された。

大同からスラグの再処理や販売を委託された「佐藤建設工業」の元社員は毎日
新聞の取材に「スラグはどんどん発生し、どんどん使った。認められた工事だ
けじゃ使い切れなかった」と明かした。大同との契約が「逆有償取引」だった
ことから、スラグを買えば買うほどもうかる仕組みだったのだ。社長は取材に
対し「スラグにリスクがある以上、お金はいただかないと面白くない」と述べ
ていた。

一方、遊園地「渋川スカイランドパーク」の駐車場から撤去したスラグの処理
費用約2400万円は13年に市が負担した。阿久津貞司市長が「大同に費用
負担を求めない」との方針を打ち出したからだ。ところが、市民から処理費を
大同に請求するよう求める訴訟を起こされると、判決を待たずに大同が任意で
支払った。

環境汚染を防ぐ費用は、原因を作った者が負担する「汚染者負担原則」が国際
的に確立されたルールだ。渋川市の50代男性は「有力な税収源が少ない渋川
で大同が大事な納税者であることは分かるが、市は住民の安全を第一に考え、
速やかにスラグ全量を大同に撤去させてほしい」と話す。
(毎日新聞)

◆解説

産業廃棄物を有価物扱いにして廃掃法の適用を免れる、いわゆる逆有償問題か
らスタートした本件は、フッ素や六価クロム汚染の問題に焦点が移っています。

同社のホームページには、9/11付けで次のコメントが記されています;

9月11日、当社本社(名古屋市東区)、渋川工場(群馬県渋川市)および連結
子会社である大同エコメット(株)等にて、廃掃法違反容疑として群馬県警によ
る捜索差押えが行われました。

当局による捜査等に対しては誠実に協力することはもちろんのこと、今後も当
該路盤材が使用された場所の特定や対応工事への協力を通じて会社としての責
任を果たす所存です。

関係各方面の皆様に多大なるご心配やご迷惑をお掛けしましたことに改めて深
くお詫び申しあげます。

今後、”原状回復”に多額の費用を要することも推察され、同社にとっても大
きな痛手となることは確実と言えそうです。

ゼロエミッション(Zero Emission)とは、1994年に国連大学が創設した「ゼ
ロエミッション研究構想」から生まれた構想です。環境省のホームページでは
次のとおり示されています;

自然界では動物も植物も食物連鎖のメカニズムの中で生きており、すべての物
質が循環しているのでゴミを出さないメカニズムを人間の産業活動のメカニズ
ムの中に取り入れて3Rを完成させようと言うのが、ゼロエミッションの特徴で
あり、従来の3Rの考え方との違いです。

企業が達成すべき目標ではなく、理想とする壮大な理念であることを理解して
欲しいものです。

ゼロエミッションの達成のために、環境リスクや事業リスクを冒してまでも取
組む企業が数多く存在しますが、この不祥事を教訓として欲しいと願います。

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■労働災害の真相

◆野田の工場爆発:運営会社2被告、起訴内容認める/千葉 (9/2)

野田市の廃油精製工場で2013年11月、作業員2人が死亡するなどした爆
発火災で、業務上過失致死傷罪などに問われた運営会社「エバークリーン」
(東京都千代田区)の元常務(47)ら2人の初公判が8月31日、千葉地裁
松戸支部(衣笠和彦裁判長)であり、被告らは起訴内容を認めた。

他に起訴されたのは、元千葉支店長(43)。

起訴状などによると、被告らは、工場では扱うことができない揮発性の高いガ
ソリンと軽油が混合した廃油約10キロリットルの収集を指示。13年11月
15日、蒸留施設で精製作業中に気化した廃油が静電気で引火、爆発事故を起
こして2人を死亡、20人に重軽傷を負わせたとされる。
(毎日新聞)

◆解説

爆発の衝撃で施設の屋根や壁は吹き飛び、数百メートル離れた場所でも窓ガラ
スが割れるなどの被害が出て、テレビなどでも報道された事故ですので、ご記
憶の方も多いことと存じます。

廃油の蒸留再生施設の一部で、細かな不純物を取り除くマイクロセパレーター
(遠心分離機)で、常温で引火性のあるガソリンの処理は想定されていないプ
ラントでした。

ガソリンを含む廃油の引き取りを命じた被告らは、おそらく引火点に関する知
識や爆発の危険性を十分に理解していなかったものと考えられます。

産業廃棄物の廃油の中間処理や収集運搬に従事する多くの人々は爆発の危険性
や引火点の意味などを理解していないのが実態です。

排出事業者は、産廃業者の安全教育のレベルにも着目して委託業者を選定する
ことが重要です。

もちろん、自社の社員に対しても正しく教育することを忘れてはなりません。

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■今日の言霊

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■労働災害の真相

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■環境事故・ニュースレポート

 全国の事故・事件情報 4件

■労働災害レポート

 全国の労働災害・書類送検情報 15件

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