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NO.571

橋落下、2人が心肺停止 作業員7人救急搬送、静岡 バイパス立体化工事 中

■■ ESHの解決策
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2023.7.19 No.571

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

記録的な大雨が降り続いた秋田県では、浸水被害や停電・断水が相次ぐなど
深刻な被害が出ています。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

一方、三連休は全国各地で猛暑日となり、熱中症により救急搬送された患者が
続出しました。お出かけの際は十分に気を付けておられたとは思うのですが、
それ以上に危険な暑さだったということですね。

昨年もこの時期にメルマガで日傘について触れさせていただきました。2016年
の研究結果によると、晴天時に日傘を使用することで、頭部の体感温度が3.9
~9.3℃低下。全身の体感温度も1~2℃低下することが実証されたそうです。

年々、日傘を使用されている方は増えていますが、男性の中にはまだ抵抗が
あるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

先日、猛暑日に娘が大学のお友達とディズニーランドに遊びに行ったのですが、
日傘を使っていた女子グループは夜まで元気だったのに対し、日傘を使って
いない男子グループは早々にバテてしまったそうです。(単にテンションの
違いかもしれませんが・・・)

男性の皆様もぜひ、日傘をお試しください!(門)

 

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◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ

「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか?」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など多くの方々に受講いただき、
高いご満足を頂戴しております。

詳細は次のサイトをご覧ください。

https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar

 

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■環境不祥事の教訓

◆エネオス仙台製油所で硫酸漏れ 現在は流出止まりけが人なし/宮城 (7/9)

9日午前9時15分頃、仙台市宮城野区のエネオスの仙台製油所から「硫酸が漏れ
た」と消防に通報があった。通報時には、硫酸の漏えいは止まっていたが、
消防で現場の確認作業などを行っている。この事故でけがをした人はいなかっ
た。

漏れた硫酸は、石油を精製する際に作られるもので普段はタンクに溜められて
いる。消防が、漏れた硫酸の量や原因について調査している。
(TBS NEWS)

 

◆解説

別の記事では次のとおり報じられました。

9日午前9時10分ごろ、仙台市宮城野区港5丁目のエネオス仙台製油所で、従業
員から「硫酸が漏れた」と119番通報があった。市消防局によると、漏れ出た
のは敷地内にある硫酸タンクで、配管のつなぎ目から約20リットルが流出した。
けが人はいなかった。

漏れ出た硫酸はタンクを囲む防油堤内にとどまり、海への流出はないという。
エネオス仙台製油所が原因を調べている。
(河北新報ONLINE)

製油所で硫酸が20L漏洩し、防液提にとどまった場合、読者の会社であれば
消防や行政に通報したでしょうか。

これはかなり悩ましい判断だと思います。

消防法では次のとおり規定しています。

第十六条の三 製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、
当該製造所、貯蔵所又は取扱所について、危険物の流出その他の事故が発生
したときは、直ちに、引き続く危険物の流出及び拡散の防止、流出した危険
物の除去その他災害の発生の防止のための応急の措置を講じなければならない。
2 前項の事態を発見した者は、直ちに、その旨を消防署、市町村長の指定し
た場所、警察署又は海上警備救難機関に通報しなければならない。
(以下略)

ちなみに、「危険物流出等の事故の調査マニュアルについて」(消防危第317
号、平成20年8月12日)では、次のとおり記されています。

「危険物の流出その他の事故であって火災が発生するおそれのあったもの」の
うち流出以外の事故とは、「危険物の流出は認められないが、危険物施設の
一部又は全部が破損、変形などの異常な状態となった事故のうち、
火災の発生や危険物の流出のおそれのあったもの」が想定されている。

硫酸は、水質汚濁防止法の「指定物質」に該当しますので、次の事故時の措置
が適用されます。

(事故時の措置)
第十四条の二
2 指定施設を設置する工場又は事業場(「指定事業場」)の設置者は、当該
指定事業場において、指定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質又は指
定物質を含む水が当該指定事業場から公共用水域に排出され、又は地下に浸透
したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、
直ちに、引き続く有害物質又は指定物質を含む水の排出又は浸透の防止のため
の応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概
要を都道府県知事に届け出なければならない。

さらに硫酸は、毒物及び劇物取締法の「劇物」に該当し、次の規定が適用され
ます。

(事故の際の措置)
第十七条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物若し
くは劇物又は第十一条第二項の政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出し、染
み出し、又は地下に染み込んだ場合において、不特定又は多数の者について保
健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、警察
署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要
な応急の措置を講じなければならない。

いずれの法令も流出などの「量」については、規定がないことから、通報や
届け出の判断が難しい問題となります。

最終的には経営判断となりますが、流出そのものよりも通報/届出の遅れが
企業の信用低下につながるため、迷ったら通報/届出することが推奨されます。

★消防庁による「火災・流出事故に係る深刻度評価指標」をを「ESHエキス
パート」でご紹介しています!

 

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採用されています。

 

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■労働災害の真相

◆橋落下、2人が心肺停止 作業員7人救急搬送、静岡 バイパス立体化工事
中 (7/6)

6日午前3時10分ごろ、静岡市清水区の工事現場付近で、作業員から「上で作業
をしていた人がけがをした。橋桁が崩れた」と119番通報があった。静岡県警
や消防によると、静清バイパスの立体化工事で橋が落下し、複数の作業員が
巻き込まれた。消防によると、7人が救急搬送された。4人が重傷で、うち2人
が心肺停止の状態という。

県警清水署によると、落下した橋は長さ50メートル、幅5メートル。作業員約
20人が夜間作業をしており、橋桁の鉄骨が落ちた。署が詳しい状況を調べてい
る。

現場は東名高速道路の清水ジャンクションから南に約300メートル。静岡国道
事務所によると、工事は渋滞緩和などのため、バイパスを高架化している。
上り線で橋梁(きょうりょう)を設置しており、開通は令和8年春の予定。
(産経新聞)

(続報)高所作業の作業員7人は命綱着用…事故の際に命綱が固定されていた
か捜査 (7/9)

6日、静岡市清水区の国道1号静清バイパスの高架化工事中に橋げたが落下し、
2人が死亡、6人が重軽傷を負った。

捜査関係者によると、死亡した2人を含む作業員7人は、いずれも高所で作業を
していて、全員が転落防止用の命綱を着用していたとみられている。

一方で、作業をする際に命綱とつながるフックを固定する場所から一時的に
外す場合もあり、警察が、事故が起きたときに命綱が固定されていたかなど
当時の詳しい状況について調べている。
(静岡朝日テレビ)

(続報)静岡の橋桁落下事故、未明の作業内容が徐々に判明…工事関係者
「通常は落下考えにくい」 (7/13)

事故当日は横取りと降下の作業が行われていた。水平ジャッキを使って橋桁を
移動させ、橋脚上に下ろす際には「サンドル」と呼ばれる井桁状に積み上げた
鉄の土台を鉛直ジャッキを使って順に撤去して橋桁を下げていく。

同様の工事を請け負う工事関係者によると、水平ジャッキを使う際には通常
ジャッキと橋桁が固定されており、そのまま滑り落ちる可能性はないという。
降下の際も、橋桁が道路の内側や外側に傾かないようジャッキを操作しながら
下げていくため、「落下することは考えにくい」と首をかしげる。

橋桁はこうした工程の途中で何らかの原因でバランスを崩し、落下したとみら
れる。捜査幹部は「複合的要因だ」と今回の事故の印象を語る。当時は約20人
が作業にあたっていたが、捜査関係者によると、目撃者はその半分程度にとど
まるといい、関係者から慎重に聞き取りを進めている。

関係者によると、落下した橋桁にボルトで取り付けられていた「セッティング
ビーム」と呼ばれる仮設の鉄製の部材が事故後に外れていたことが判明。施工
済みの橋桁と連結する側に取り付けられ、橋桁の荷重がかかる場所だった。
また、道路幅を確保するために橋桁外側に付けられていた「ブラケット」と
呼ばれる鉄製の鋼材についても、適切な管理を怠れば重心が偏るリスクが指摘
されている。

橋の設計や解析に詳しい首都高速道路技術センターの高木千太郎上席研究員は、
「大きなブラケットの場合は力のベクトルが斜めにかかり、非常に不安定に
なる。後付けの方がいいという考え方もある」と指摘した。
(読売新聞オンライン)

◆解説

マスメディアでも大々的に報じられた災害であり、多くの方々がご存知だと
思います。

落下した橋桁は、長さ63メートル、幅5メートル、重量140トンとのことで、
大惨事を起こす莫大なエネルギーを持っていたこととなります。

この「横取り架設工法(横取り降下工法)」と同様の工法による災害が、1991
年3月に広島で起きています。

広島市の「新交通システム」工事現場において、横取り降下工法で箱型橋桁を
降下作業を行っていたが、主桁を支えていたジャッキと受台がはじき飛ばされ
たため、桁が県道に落下し、その結果、信号待ちしていた車両11両を押しつぶ
し、民間人10人を含む15人が死亡し、8人が重軽傷を負う大惨事となった。

この災害の教訓として、この事故以降、同工法の際には、下の交通を開放しな
がら架設するのは原則禁止になりました。

今回の災害現場でも、5日午後9時から6日の午前6時まで工事現場付近を通行止
めとしていました。

今回の災害の考えられる一つの要因として、この9時間という時間の制限が、
作業員に心理的な影響を与えた可能性がある、という見解もあります。

時間的プレッシャー(以下、タイムプレッシャー)と災害に関しては多くの
研究があります。多くの研究の共通した見解が次のとおりです。

・適度なTPは、作業効率を向上させ、ミスを減らす効果がある。
・過度なTPは、作業の精度や細部への注意が欠ける可能性があり、その結果、
誤操作、作業手順の無視などで労働災害のリスクを高める。
・適度/過度の程度は業務の難易度、スキル、健康状態により異なる。

一人ひとりがタイムプレッシャーを軽減する方策として、次の言葉があります。

「慌てず、焦らず、急ぐ」

「慌てる」や「焦る」は、リスクの知覚・評価・意思決定を適切にコントロー
ルできていない状態です。

意識して深呼吸するなどして「慌てる」や「焦る」を軽減することが必要です。

また、管理監督者に意識していただきたいのが、カンタス航空の次の安全標語
です。

「Better late than never !
(着かないよりは、遅れた方がまし)」

状況次第ですが、現場のリーダーや管理者が工期を延ばすなどタイムプレッ
シャーを軽減する意思決定をすることも重要です。

「タイムプレッシャー」を認識して、労働災害のリスクを軽減しましょう。

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でも
お伝えしています。どうぞご覧ください。

★タイムプレッシャーの軽減に寄与するコミュニケーションとして「アクティ
ブ・リスニング」のポイントを「ESHエキスパート」で解説しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める

◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

ホットな天気は、人がどれくらいクールかテストする

■新着情報

・皮膚等障害化学物質等に該当する化学物質の公表

・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画

橋げた落下事故で二人死亡、タイムプレッシャーについて考える
https://youtu.be/3QXghIWmOWM

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 4件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 21件

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

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