灰冷却設備での死亡事故 粘着性ある灰が落下し埋もれたか/三重
■■ ESHの解決策
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2022.12.7 No.556
企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
いよいよ今年も残り1ヶ月となりました。毎年のことですが、年末の慌ただし
いこの時期、体調を崩したり、思わぬ怪我などなさらないよう、くれぐれも
気を付けてお過ごしください。
さて、サッカーワールドカップのクロアチア戦は惜しくもPK戦で敗れ、日本は
悲願のベスト8入りを果たせませんでした。残念ではありますが、強豪ドイツ、
スペインに競り勝ち、クロアチア戦でも最後まで諦めない姿は、私たちに感動
を与えてくれました。
選手の皆さんにはこの経験を糧にして、また4年後に向けて頑張ってほしいと
思います。(門)
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◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ
「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか?」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など延べ178名にご参加いただき、
92.7%のご満足を頂戴いたしました。
多くの方々から今年度の受講希望や録画受講希望を頂戴したため、昨年度セミ
ナーの録画受講のシステムを構築し受付を開始しております。
詳細は次のサイトをご覧ください。
https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar
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■環境不祥事の教訓
◆府中市 汚泥流出で最終報告を公表/広島 (11/25)
今年8月、採石場の跡地の周辺から出る有害物質のカドミウムなどを含む湧き
水を処理している、府中市荒谷町の「出口川湧水処理場」から汚泥が川に流出
した。
流出を受けて市は原因などを調査した最終報告をまとめ、25日、公表した。
それによると、委託業者の作業員が、汚泥をためておく槽に汚泥を移すポンプ
を作動したままにしてしまったうえ、この槽から汚泥があふれないよう感知す
るセンサーが故障していたとして、人為的なミスや設備の故障が重なったこと
が原因だとしている。
その上で、再発防止策としてセンサーを交換するほか、新たに監視カメラを
設けて汚泥の流出がないかを常に監視するという。
一方で、カドミウムなどの有害物質の濃度は環境基準を下回っていて、人や
環境への影響はないと結論づけている。
府中市の小野市長は、「近隣の皆さまにご迷惑をおかけし改めてお詫び申し
上げます。適切な情報発信ができるよう最善を努めます」としている。
(NHK NEWS WEB)
◆解説
排水処理施設からの汚泥の流出事故です。
この事故は、「凝集沈殿槽」で発生したものです。
凝集沈殿槽は、重金属の粗大フロックを沈降分離する為の水槽です。上澄水は
中和槽へ、沈殿し底部に溜まった汚泥は界面計が検知し、自動で汚泥引抜ポン
プを運転しアルカリ汚泥貯槽へ移送されます。
ところが、界面計の故障により、汚泥の引き抜き処理が自動でできなかったた
め、手動で汚泥引き抜きを行っていました。
この引き抜き作業中に、他の作業をしていたことで、汚泥をオーバーフロー
させてしまいました。
手動運転時は水位センサーがオフとなり、自動停止制御が働かなかったことも
原因です。
汚泥は、約6分間流出させ、流出量は約1.6立方メートルと推定されています。
この施設は、本体工事費(当時)約1億2,200万円、昭和63年3月に完成しまし
た。現在まで34年間にわたって湧水を処理しています。
また、この施設は、府中市が委託業者に管理を委託しています。
施設の老朽化と委託業者に対する管理不良が招いた事故と言えます。
このような状況は民間企業でも散見されるものです。特に古い事業所はハード、
ソフト両面で見直しが必要です。
★参考となる自治体の業務委託仕様書の例を「ESHエキスパート」でご紹介し
ています!
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採用されています。
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■労働災害の真相
◆灰冷却設備での死亡事故 粘着性ある灰が落下し埋もれたか/三重 (12/1)
11月28日、三重県川越町の建材メーカーの工場で、燃やした木くずの灰を冷却
する設備の内部で清掃をしていた作業員3人が灰に埋まった事故で、亡くなっ
た2人の死因は、灰に埋もれたことによる窒息や呼吸不全だったことが新たに
わかった。
燃やした木くずの灰を集めて冷却する設備の内部で、清掃をしていた作業員の
男性3人が上部から落下してきた灰に埋まり1人は救助されたが、いずれも業務
委託先の作業員で、ミャンマー国籍の技能実習生(33)と、日本人作業員
(51)の2人が死亡した。
警察が死因を調べた結果、一人は灰に埋まったことによる窒息死、もう一人は
首から下が埋まり、胸部が圧迫されたことなどによる循環呼吸不全とわかった。
また、2人とも手足などにやけどをしていて、熱が下がりきっていない灰に
埋もれたとみられるという。
設備は高さおよそ12メートル、直径およそ3メートルの円筒形で、燃料として
燃やした木くずの灰を上部から取り込んで水と混ぜることで冷却する仕組み
だったということ。
警察によると、3人が作業をしていた設備内の下の部分には水分を含んだ粘着
性のある灰がたまっており、壁などにもこびりついた状態だったということで、
冷却の過程で水分を含んだ粘着性のある灰が、上部から大量に落下し、2人は
この灰に埋もれて身動きが取れなくなった可能性があるということ。
警察は引き続き、事故の原因を捜査している。
(東海 NEWS WEB、抜粋)
◆解説
被災した3人は業務委託先の従業員(30~50代)で、数カ月に1度の点検、清掃
中だったとのことです。ミャンマー国籍の技能実習生も含まれており、本当に
お気の毒です。
報道では、次のとおりの記述もありました。
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同社の関係者によると、冷却の過程で装置の内壁に灰が付着するため、高い
位置にあるものは外部からハンマーでたたいて落としてから中に入る手順に
なっている。
灰を外からたたいて落とす準備作業が不十分なまま、3人が装置内に入った
疑いがある。
(産経新聞)
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事故が起きた企業は、資本金1億円で2022年7月にスタンダード市場上場を廃止
した中堅企業です。
装置外部から灰を落とす作業がどちらの役割だったかは不明ですが、いずれに
しても発注者は業務委託先の安全を適切に確保することが必要です。
本災害を他山の石として請負者管理を見直すことを期待します。
★ISO 45001:2018の請負者管理に関する要求事項について「ESHエキスパー
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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活!今日の言霊
PKを外すのは、蹴る勇気を持った者だけだ
■新着情報
・「新たな化学物質規制を踏まえた自律的な化学物質管理促進セミナー」の
動画配信
・「第三管理区分に区分された場所に係る有機溶剤等の濃度の測定の方法等」
に関する告示
・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画
ツナ缶に虫混入で下請け会社に1億3千万円の賠償命令、協力会社との付き
合い方とは
https://youtu.be/lcQv3uBRqb4
安全活動はやめよう!その意図とは?
https://youtu.be/SmdPOkC7_60
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 6件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 27件
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