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NO.522

熱海土石流 副知事「盛り土の工法不適切」 工事で是正指導

■■ ESHの解決策
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2021.7.7 No.522

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

大雨の影響で熱海市では大きな土石流災害が発生してしまいました。現時点で
7名の方が亡くなり、27名の安否が不明となっています。被災者の皆様に心
よりお見舞い申し上げます。

近年、各地で甚大な被害をもたらしている自然災害により、我々の意識も高ま
り発信される情報に対して敏感になっています。おそらく今回の被災地の方々
も十分に注意をされていたのだと思います。

一方でYouTubeチャンネル安全衛生アカデミーでもご紹介しているとおり、人
間に備わる防衛本能として「正常性バイアス※」というものがあり、「自分だ
けは大丈夫」と思い込んでしまう側面もあります。

※正常性バイアスの解説 → https://youtu.be/aGIvOLuTl0o

我々は「正常性バイアス」を持つ生き物であることを自覚し、災害時には早め
の安全行動を心掛けましょう。(門)

 

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◆オンラインセミナーのご案内

弊社では、安全衛生アカデミー「オンラインOHSエキスパート養成コース」を
開講しております。6回シリーズで、労働安全衛生の”エキスパート”として
力量を向上していただくアカデミーです。

受講後アンケートの結果、「大いに満足」、「満足」(6段階評価の6と5)が
第1回目100%、第2回目94%、第3回目94%(大いに満足65%)と高い満足度を頂戴
しました。

第4回は、監査・パトロールがテーマです。

・7/16(金)「オンラインセミナー:監査・パトロール」

バーチャルサイトツアーなどにより効果的な監査・パトロールの視点を学んで
いただきます。

単発でもシリーズでも受講可能です。当日のご都合が合わない場合は動画で視
聴することもできます。

詳細は次のサイトをご覧ください。

https://peraichi.com/landing_pages/view/gfrsv

ご参加をお待ちしております。

 

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■環境不祥事の教訓

◆熱海土石流 副知事「盛り土の工法不適切」 工事で是正指導 (7/7)

静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で起きた土石流で、難波喬司副知事は
7日朝、県庁で緊急記者会見し、崩落した盛り土について「盛り土の工法は
不適切。盛り土の土砂が災害を甚大化させたことは間違いない」と明言した。
盛り土の工事部分では、林地開発の是正指導をしていたことも明らかにした。

土石流の発生後、現地を視察した難波副知事は、崩落部分から水が出ていたと
指摘。工法が不適切とする理由を「盛り土が(谷に)ふたをした形で、水がど
んどんたまる。排水溝をしっかりするのが基本。見た限り、排水溝が設置され
ていない」と説明。土砂を防ぐ堰堤を設置する必要性もあったと指摘し、「今
回、長雨で水が蓄積し、耐えられずにドーンと落ちた」との見方を示した。

また、現場の航空写真によると、露出した山肌は地盤の固い部分は黄土色、盛
り土部分は黒い。黒い土石流が流れ下った映像から、土石流に盛り土がかなり
含まれていたとの見解を示した。

盛り土周辺では他に宅地造成、太陽光発電施設の設置、森林伐採による土地改
変や開発行為があったことも説明。静岡県と熱海市による是正勧告や指導が複
数件あったことを明らかにした。太陽光発電施設については、周辺の水が主に
盛り土と反対側に流れていることから「影響は極めて小さい」とした。

今のところ盛り土が土石流発生の直接の原因と特定できていないが、今後の土
砂の成分分析などにより、難波副知事は「崩壊原因はある程度特定できると思
う」と述べた。地形の電子データから、今回崩落した盛り土の量は約5万立方
メートル、土石流全体は約10万立方メートルと推定した。2010年以前に盛り土
が行われていたとみられる。
(毎日新聞)

◆解説

当初は「天災」と考えられていた熱海市の土石流ですが、「人災」の可能性が
高くなってきました。

「残土」と「廃棄物」の境界は昔からかなりグレーでした。

その根拠となるのが有名な次の通知です。

厚生省環境衛生局長から各都道府県知事・各政令市市長あて
(昭和49年3月25日 環整36号)

廃棄物の定義
(1)廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はそ
の排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであっ
て、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのも
のをいうものであること。
なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。
ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動
を行なった現場附近において排出したもの
ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの

この「ウ」に相当するものとして残土は廃棄物ではないとされています。ただ
し、土砂に廃棄物が混じれば間違いなく廃棄物になるのです。

また、残土であれば廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の適
用外となるため、90年代から残土問題は繰り返されてきました。近年でも次の
ような記事をご覧いただいたことがあるのではないでしょうか。

・東京オリンピック工事の裏で残土被害続出
・不法投棄された残土が崩れ、民家を襲う
・リニア建設工事で残土からウラン検出
・無許可残土埋め立てで暴力団逮捕

このような残土問題に対処するために、多くの都道府県では残土条例を作って
残土処分を許可制にしているのです。

残土が厳しい廃棄物処理法の適用を受けないために起きる様々な問題、そもそ
も「残土の約9割は公共工事由来で発生している」とも言われており、今回の
土石流災害を契機に国による法律の整備が期待されます。

★今回の土石流災害を土壌汚染対策法の観点から「ESHエキスパート」で解説
しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関で審査員教育用資料として
採用されています。

 

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■労働災害の真相

◆姫路市の「日本製鉄」工場で“作業員が被ばくする事故”警察が業過致傷容
疑視野に捜査/兵庫 (6/30)

兵庫県姫路市にある「日本製鉄瀬戸内製鉄所・広畑地区」の工場で5月に男性
作業員2人が放射線を浴びて被ばくする事故があり、警察は業務上過失傷害の
疑いも視野に捜査している。

警察によると、5月29日に姫路市の日本製鉄瀬戸内製鉄所・広畑地区の工場
で、30代と50代の男性作業員2人が、X線を使う測定装置の点検中に事故
が起きて、大量の放射線を浴びて被ばくしたという。

2人は高度な被ばく医療を提供する広島大学の施設で治療を受けていて、警察
は日本製鉄に対して業務上過失傷害の疑いも視野に捜査をすすめている。

また同じ工場内で5月21日に協力会社の男性作業員(47)がダクトの清掃
中に一酸化炭素中毒で死亡する事故が起きたほか、5月26日には下請け会社
の作業員(42)が足場の解体中に転落死する事故が起きているという。
(毎日放送)

◆解説

別の記事によれば、被爆した2人は、エックス線を照射してメッキの厚みを測
定する装置を整備していたということです。

また、「2人は翌日に体調不良を訴えた」とあり、相当の高レベルのエックス
線を浴びたものと考えられます。

ちなみに、吐き気や倦怠感を感じる線量は、500ミリシーベルトと言われてい
ます。

電離放射線障害予防規則では、1年間の被ばく限度は50ミリシーベルトですか
ら、とても高い線量であることがわかります。

エックス線を含む放射線は、人体の細胞内のDNAを損傷させるものです。軽度
であればDNAは損傷しても修復されますが、深い損傷や広範囲の損傷は修復し
きれなくなり身体に悪影響を及ぼします。ですから放射線は厳しく規制されて
いるのです。

ご存知のとおり、エックス線は放射性物質から発せられるものではありません。
電子をターゲット(電極)にぶつけて、そのエネルギーにより励起されて発生
する電磁波がエックス線です。

したがって、電源がオンにならない限りエックス線が発生することはなく、
もちろん被ばくすることもありません。

エックス線装置は、立入が制限される管理区域内に設置されていると考えられ、
電源が入った状況で管理区域内に立ち入ることは通常では考えられません。
詳細は不明ですが、なぜ厳しく管理されるべきエックス線装置で事故が起きた
のか、原因の究明が待たれます。

私たちが教訓とすべきは、エックス線も「エネルギー」だということです。私
たちはエネルギーを利用して仕事をしている(製造している)のですが、その
エネルギーが私たちの身体に向かうと労働災害に至るのです。

機械、電気、化学、位置、温度、そして放射線のエネルギーを適切に制御する
ことが労働災害防止の基本です。

代表的な安全管理の手法であるロックアウト・タグアウトは米国の法律では、
The Control of Hazardous Energy (Lockout/Tagout) 危険有害エネルギーの
管理と題されています。

エネルギーの存在に意識を向けて労働災害を防止しましょう。

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。

★The Control of Hazardous Energy (Lockout/Tagout) の観点からエネル
ギー源の分類方法を「ESHエキスパート」でご紹介しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める

◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

運命というものは、人をいかなる災難にあわせても、必ず一方の戸口を
あけておいて、そこから救いの手を差しのべてくれるものだ

■新着情報

・化学物質の安全教育資料

・外国語版の教育用資料

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 5件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 19件

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

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【発行元】
環境ワークス株式会社
https://www.esh.co.jp
発行責任者 黒崎

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