都内の工事現場で70代作業員死亡、熱中症か
■■ ESHの解決策
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2021.7.21 No.523
企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
先日、関東地方でも梅雨明けして週末から厳しい暑さが続いています。今号の
労働災害の真相でも取り上げていますが、熱中症にならないようくれぐれもお
気を付けください。
いよいよ東京五輪まであとわずかとなりました。コロナ禍ということで異例づ
くしの開催となります。無事に閉幕を迎えられるのか不安もあり、いまひとつ
気分が盛り上がらないのですが、五輪の熱気で鬱屈とした空気を吹き飛ばして
くれることを願っています。
私もTVの前から精一杯、日本選手に声援を送りたいと思います。(門)
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◆オンラインセミナーのご案内
弊社では、安全衛生アカデミー「オンラインOHSエキスパート養成コース」を
開講しております。6回シリーズで、労働安全衛生の”エキスパート”として
力量を向上していただくアカデミーです。
受講後アンケートの結果、「大いに満足」、「満足」(6段階評価の6と5)が
第1回目100%、第2回目94%、第3回目94%、第4回目92%と毎回高い満足度を頂戴
しております。
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欧米では当たり前の事故調査教育ですが、国内では事故調査に関するセミナー
はないと言われています。インタビューや現地調査のポイント、根本原因分析
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聴することもできます。
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ご参加をお待ちしております。
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■環境不祥事の教訓
◆上市町の薬品工場から「無水硫酸」流出で運営会社が陳謝(7/20)
19日、上市町にある薬品の工場で、タンクローリーから「無水硫酸」が漏れ
出して、白煙と刺激のある臭いが発生した問題で、工場を運営する会社などが
会見を開き、「付近住民や関係者の方々にご心配、ご迷惑をおかけし、申し訳
なく思っている」と陳謝した。
19日、上市町にある薬品の工場で、タンクローリーから「無水硫酸」が漏れ
出して、白煙と刺激のある臭いが発生し、警察と上市町などが付近の住民に窓
を閉めて外に出ないよう呼び掛けた。
これを受けて20日、富士化学工業の西田洋社長が会見を開き「付近住民や関
係者の方々にご心配、ご迷惑をおかけし、申し訳なく思っている」と陳謝した。
富士化学工業によりますと、19日午前10時ごろ、原料の購入先の日曹金属
化学が委託するタンクローリーから工場のタンクに薬品を移す作業をしていた
ところ、「無水硫酸」の一部が漏れ出してミスト化し、白煙のようになったと
いうこと。
何らかの原因でタンクローリーのタンクの底に穴が空き、「無水硫酸」が漏れ
出した可能性が高いということである。
無水硫酸は三酸化硫黄とも呼ばれ、大気汚染防止法の特定物質に指定されてい
て、空気に触れると発煙する性質がある。
会社側は、何度も繰り返し吸い込むと粘膜を痛めるおそれがあるとして、近く
に住む人は万が一に備えてできる限り窓などを閉めるとともに、工場に近づか
ないよう呼びかけている。
一方、無水硫酸が漏れ出してから消防への通報に約4時間掛かったということ
で、会社では原因の調査とともに、初期対応についても検証を進めるとしてい
る。
(NHK NEWS WEB)
◆解説
次の動画では、白煙の激しさを確認することができます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/28bea174e02e504331220e53bd17337fbd2c4edb
この事故では、翌日20日になっても白煙が周囲に広がり続け、20日正午時点で
も流出を止めるめどは立っていないとのことです。
同社や納入業者の日曹金属化学の社員らが24時間体制で硫酸の中和や吸着作業
を行っており、今後、別のタンクに無水硫酸を移す予定だとのことです。
同社は、19日に次のとおりプレスリリースをしています。
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工場からの異臭発生について
2021年7月19日10時頃、富士化学工業郷柿沢工場内において、原料をタンク
ローリー車から移送中に、タンクローリー車から漏れ出す事故が発生しました。
近隣住の皆様ならびに関係者の皆様には、多大なご迷惑・ご心配をお掛けし、
深くお詫び申し上げます。本日20時30分現在で判明している内容は、下記のと
おりです。
記
1. 発生日時: 2021年7月19日(月)午前10時ごろ
2. 発生場所: 富士化学工業株式会社郷柿沢工場
3. 発生事象: 富士化学工業㈱郷柿沢工場内において、タンクローリー車から
工場設備へ無水硫酸を送り込む際にタンクローリーから漏洩しました。
4. 人的被害: なし
5. 物的被害: なし
6. 環境への影響:排水は工場内で処理しているため河川への影響はありませ
ん。
その他につきましては鋭意情報収集中です。
7. 近隣への影響:ミスト化した無水硫酸を大量に吸い込んだ場合はせき込む
可能性があります。ただし工場外の住宅地において、ミスト化した無水硫酸を
吸い込む可能性は極めて低いと考えられますが、万が一に備えて窓等を閉めて
いただきますようにお願いいたします。
その他の影響については確認中です。
8. 原因と対策: 現在、無水硫酸の排煙作業を行っております。
発生原因につきましては現在調査中です。
関係機関の指示のもと、関係当局のご指導を仰ぎつつ適切な対策を実施してま
いります。
9. 生産への影響: 確認中です。
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タンクローリーのタンク下部からの漏えいということで、富士化学工場には落
ち度はない筈です。
それでも敷地内から白煙が上がり続ける状況下では、自社に責任がないとして
も無水硫酸のサプライヤーである日曹金属化学にすべての対応を任せる訳には
行きません。
自社においてタンクなどで大量に保有する化学物質は、ローリー車受入れを含
めて緊急事態や危機対応の対象にしなければならないことを改めて認識させら
れる事故です。
★危険有害物質漏えいなどの緊急事態への備えに必要な呼吸器保護具と化学防
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■労働災害の真相
◆都内の工事現場で70代作業員死亡、熱中症か (7/12)
東京都文京区の工事現場で10日、作業員の70代男性が倒れ、熱中症の疑い
で死亡していたことが12日、警視庁駒込署への取材で分かった。気象庁によ
ると、東京都心部は10日、今年最高の33.4度を記録していた。
同署によると、男性は10日午前、文京区千駄木の建物解体現場で、勤務中に
体調不良を訴えた。トラックの中で休んだが、同僚が午後1時ごろ、車外で倒
れている男性を発見。近くの病院の医師を呼び、現場で死亡が確認された。
トラックはエンジンがかかっておらず、男性はエアコンを使用していなかった
とみられる。
(産経新聞)
◆解説
別の記事では、「男性は騒音への配慮から、車内のエアコンをつけていなかっ
たとみられ」(読売新聞オンライン)という記事もありました。
午前中に体調不良となり、同僚が発見したのが午後1時ごろとのことで、適切
な対応が出来ていたら死亡は防げた災害ではないかと残念です。
昨年の熱中症による緊急搬送者は約6万5千人、死者は112人となります。
労働災害で労災認定された方は959人、亡くなった方が22人おられます。
業務別死傷者数では、建設業22%、製造業21%、運送業14%など、どの業種でも
起こり得る災害です。
熱中症が疑われたら、その対応は次のとおりです。
(1) 涼しい環境へ避難
エアコンが効いている室内、風通しのよい日陰などに避難させる
(2) 脱衣と冷却(体から放熱)
・衣服を脱がせ、下着はゆるめる
・皮膚に水をかける
・うちわや扇風機などで扇ぐ
・氷のうなどで冷やす(首、脇、鼠径部)
(3) 水分・塩分の補給
自力で飲めるなら水、経口補水液、スポーツドリンクを飲ませる
(自力で飲めないなら医療機関へ搬送)
もちろん、意識不明や重症なら救急車を呼びます(迷ったら呼ぶ)が、救急車
が到着するまでの間も(1)(2)の対応は必須です。
(3)については、労働安全衛生規則で次のとおり規定しています。
(発汗作業に関する措置)
第六百十七条 事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与え
るために、塩及び飲料水を備えなければならない。
熱中症対策については、厚生労働省でも次のサイトを設けて啓蒙を進めていま
す。
学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報
リーフレットのみならずオンライン講習動画もあり活用されることをお薦めし
ます。
熱中症に関しては職場の全員が上記の最低限の知識を身につけ、仲間の命を守
ることが必要です。
この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。
★熱中症に関して有効な暑さ指数(WBGT)によるリスクアセスメントについて
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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活!今日の言霊
失敗と共に生きる。挑戦しないことは、何にもならない
■新着情報
★職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 9件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 27件
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
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