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NO.583

設備は安全という「思い込み」 作業員1人死亡 デンカ工場爆発事故 調査委が最終報告書/新潟

■■ ESHの解決策
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2024.1.24 No.583

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

先日、ファミリーマートがプラスチック製のスプーンやフォーク、ストローを
有料化すると発表しました。プラスチック使用量の削減が目的で、大手コンビ
ニエンスストアでは初めてとのことです。金額は1本4~6円で、全国の直営約
100店舗で29日から始め、順次、有料化する店舗を広げていく方針とのことで
す。ファミリーマートは全店規模に拡大すれば、年間で自社使用量の数%に
当たる約715トンのプラスチックを削減できると見込んでいるそうです。

レジ袋が有料化されたときも、最初は反発が大きかったものの、今ではすっか
り普通のこととなりましたし、将来的にはマイスプーン・フォークを持ち歩く
のが当たり前になるのでしょうか?

他のコンビニエンスストアも含め、今後の動向に注目ですね。(門)

 

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◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ

「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか?」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など多くの方々に受講いただき、
高いご満足を頂戴しております。

詳細は次のサイトをご覧ください。

https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar

 

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■環境不祥事の教訓

◆Rapidusの工場建設現場で 灯油 約360リットル漏出/北海道 (1/16)

先端半導体の国産化を目指すRapidusの工場建設を千歳市で進めている大手ゼ
ネコンの鹿島建設は、灯油およそ360リットルが工事現場の土壌に漏れ出した
と発表した。敷地外への影響はないと考えられるとしている。

発表によると、今月6日から7日にかけてRapidusの工場建設現場で防水剤の
凍結防止などのために使用していた温風ヒーターの燃料の灯油、およそ360
リットルが敷地内の土壌に漏れ出したという。

燃料タンクには温風ヒーターに灯油を送る管を含めて5つの接続口があり、
このうち当時は使用していなかったバルブの1つが緩んでいたという。

漏れ出した灯油は7日のうちに吸着マットで回収するなどしたうえで、漏れ出
したとみられる範囲よりも広い範囲の土壌を回収したため、敷地外への影響は
ないと考えられるとしている。

今後、敷地の境界付近に井戸を掘って外部の専門家による地下水の調査を行う
ことを検討しているという。

鹿島建設は「皆様にはご心配、ご迷惑をおかけしていることを深くおわび申し
上げます。今回の事案を真摯(しんし)に受け止め今後の再発防止を徹底して
まいります」とコメントしている。
(NHK NEWS WEB)

◆解説

「Rapidus(ラピダス)株式会社」は、2022年8月、次の8企業が出資をして
設立されました。
・トヨタ自動車株式会社
・株式会社デンソー
・ソニーグループ株式会社
・日本電信電話株式会社(NTT)
・日本電気株式会社(NEC)
・ソフトバンク株式会社
・キオクシア株式会社
・株式会社三菱UFJ銀行

半導体はスマホやPCなど、あらゆる先端技術に利用されていますが、最先端の
ロジック半導体を量産できるのは、台湾のTSMCと韓国のサムスンなど限られて
います。

地政学上のリスクもあり、日本にも強力な半導体メーカーが求められ、
Rapidusが設立されました。

漏洩したのは灯油約360リットルと大きな環境影響はありませんが、日本の
将来がかかったプロジェクトでもありますので、建設段階での環境事故や労働
災害は防止していただきたいものです。

★発注者が知るべき建設現場における環境事故の原因と対策について「ESHエ
キスパート」で解説しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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■労働災害の真相

◆設備は安全という「思い込み」 作業員1人死亡 デンカ工場爆発事故
調査委が最終報告書/新潟 (1/12)

2023年6月に新潟県糸魚川市のデンカ田海工場で、取り換え作業中だった配管
が爆発し、協力会社の男性作業員1人が死亡、2人がけがをした。

デンカは専門家らによる事故調査委員会を設置。11日に原因の特定や再発防止
策がまとまったとして最終報告書を発表した。

工事は、配管の内壁に付着している化学物質を洗浄しやすくするために、デン
カが建設会社に発注したものだった。

作業員が電動ノコギリで取り替え前の配管を切断している時に、切断部分から
約2.9m離れた部分が破裂。その場所で脚立に乗って配管を支えていた従業員が
死亡した。

配管のうち約65cmの部分が半径最大約25mの範囲で飛散し、一緒に作業をして
いた2人の従業員もけがをした。

破裂の原因となったのは配管内部に付着していた化学物質「CP‐NOxダイ
マー」=【クロロプレンモノマー(CP)と窒素酸化物(NOx)が結合】で、切断時
に発生した熱が着火源になったとされている。

「CP-NOxダイマー」は乾燥すると発火の危険があり、作業当時、配管内に付着
して乾燥した状態になっていた。

関係者は「CP-NOxダイマー」を湿った状態に保てば安全に工事が実施できると
いう認識があり、工事の前にあらかじめ配管の液抜きや水洗いをしていたもの
の、水洗いによる液だれを防ぐために、ドライ窒素で配管を乾かした結果、
乾燥してしまい危険性が増したという。

報告書は「長年事故がなかったことから、この設備は安全であるという思い込
みがあり、危険性への認識が低く、工事協力会社との連携も不十分であっ
た。」と指摘。

デンカは再発防止策として、湿潤状態を保つなど付着物の安全な取り扱いを
確実に実施することや、発注者から協力会社への危険源情報の伝達などの情報
交換を徹底するとしている。
(新潟テレビ21)

◆解説

この事故の状況は、同報告書に次のとおり記されています。

2023年6月14日、クロロプレンモノマー製造設備において、クロロプレンモノ
マー移送配管の一部更新(新規製作・取替)工事に際し、工事の協力会社が
セーバーソー(電動のこぎり)で対象配管を切断中にその約2.9m先の配管が
破裂し、作業していた協力会社の従業員3名が被災して、1名が死亡し、2名が
負傷したものである。

発注者である同社が委託した工事業者が、配管を切断していたところ、配管内
に付着した化学物質が爆発しました。

従って、次の労働安全衛生法上の問題もあると考えられます。

労働安全衛生法(注文者の講ずべき措置)
第三十一条の二 化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物を製造し、
又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める
作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者
の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則(文書の交付等)
第六百六十二条の四 法第三十一条の二の注文者(その仕事を他の者から請け
負わないで注文している者に限る。)は、次の事項を記載した文書(その作成
に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。
次項において同じ。)を作成し、これをその請負人に交付しなければならない。
一 法第三十一条の二に規定する物の危険性及び有害性
二 当該仕事の作業において注意すべき安全又は衛生に関する事項
三 当該仕事の作業について講じた安全又は衛生を確保するための措置
四 当該物の流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
(以下略)

ご存じのとおり、この条文は、化学物質の自律的管理の一環として、2023年
4月1日から、従前の化学設備、特定化学設備から対象が拡大された「注文者が
必要な措置を講じなければならない設備の範囲の拡大」に関するものです。

この報告書は、次のURLから確認することができますが、労働安全衛生法に
ついては言及していないと思います。

https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1193/20240111_denka_omi_finalreport.pdf

事故調査においては、適用法令とその順守状況についても必ず確認が必要だと
考えます。

★労働災害の再発防止の是正処置(根本原因の除去)を決定するまでのプロセ
スについて「ESHエキスパート」で解説しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

地震は我々の脆さを思い起こさせる。しかし同時に、団結と回復の力も示す。

■新着情報

・土壌汚染対策セミナー(録画配信)の開催

・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画

羽田空港滑走路事故に学ぶ、スイスチーズモデルの穴の本当の意味
https://youtu.be/4yQn_D3YMEQ

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 2件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 25件

 

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