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NO.582

運航管理に穴がある? 羽田事故で揺らぐ“信頼”の原則 国交省「管制指示をチェックする管制官」を急ぎ配置

■■ ESHの解決策
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2024.1.10 No.582

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

2024年の年頭にあたり、ご挨拶申しあげます。

元日の能登半島大地震、2日の羽田空港事故と、2024年は心痛む始まりとなり
ました。犠牲者の方々には心よりお悔やみ申しあげるとともに、被災された
多くの皆様に心よりお見舞いを申しあげます。

弊社も安全に携わる組織として、微力ながら災害防止に寄与する情報提供など
に尽くして参る所存です。

お陰様で、弊社は本年7月で創立30周年を迎えることとなります。多くの皆様
に支えられ今日に至ることに深く感謝申しあげます。

本年も、不幸な災害を防止する同志として変わらぬご支援をお願いいたします。

末筆ですが、皆様の本年のご健康とご活躍を祈念申しあげます。

2024年1月10日
環境ワークス株式会社
代表取締役 黒崎 由行

 

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◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ

「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか?」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など多くの方々に受講いただき、
高いご満足を頂戴しております。

詳細は次のサイトをご覧ください。

https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar

 

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■特集:羽田滑走路事故の教訓

今号では、大きな災害が発生しましたので、環境と安全衛生を統合して特集で
お伝えします。

◆運航管理に穴がある? 羽田事故で揺らぐ“信頼”の原則 国交省「管制指示
をチェックする管制官」を急ぎ配置(1/7)

過密な離発着は、パイロットの注意義務が前提で実現している

航空史上まれにみる羽田空港滑走路の航空機衝突炎上事故は、機体の不具合は
認められていない反面、管制を含む、いわゆる運航管理に何らかの要因があっ
たのではないかと言われています。そこで国土交通省は2024年1月6日から、
システム監視に専任する管制官を配置しました。

航空機には「フェイルセーフ」という、万が一に不具合が生じても、安全な
機能を確保しその影響を最小限に留める設計思想がありますが、分単位で発着
する航空機の運航管理に、フェイルセーフの思想は構築されていたのでしょう
か。

羽田空港は大小さまざまな航空機が、事故前は1時間あたり80~90回の離発着
を繰り返す国内一の混雑空港です。この航空管制の安全は、機長や副操縦士の
注意義務が前提で成り立っています。

例えば、管制のシステムにある「滑走路占有監視支援機能」は、高性能のレー
ダーを使って滑走路上を走る航空機の位置を把握するもので、羽田空港を含む
国内の主要7空港で装備されています。空港を走る航空機の位置を示すマー
カーがモニター上で誘導路にあるときは黄色、滑走路に入ると赤色に変わるの
で、管制官がこのモニターで海保機の滑走路進入に気付くことができれば、
事故は防げたかもしれません。

しかし、この支援機能は元来、管制官の監視を“支援”することが目的で、
列車や自動車のように誤った操縦を制御する機能や、管制官の気付かないこと
を警告音で知らせる機能はありませんでした。

すでに、羽田空港の過密ぶりは自動制御が介入できないほどのレベルにあるの
です。

1月2日に公開された交信記録で明らかなように、C滑走路のタワー管制官は
事故直前に、海保機(JA722A)とJAL機(JAL 516便)のほかに3機の離発着機
を担当し、4分21秒の間に離発着許可、誘導など状況の異なる判断を繰り返し
ていました。航空機の機長や副操縦士はそれら指示のなかから、わずかな時間
に自分の航空機に関する内容だけを聞き出して、滞りなく機体を移動させなけ
ればなりません。

「1本の滑走路に航空機は1機」という大原則に従えば、ひとつの着陸を見届け
て、離陸指示を出すことができるのですが、混雑空港では着陸の合間に差し込
むように離陸させなければ、要求される航空需要を処理することは不可能です。
これを支えるのは管制官の適切な指示と、航空機乗員の現場対応力です。

「ある意味、信頼を原則として仕事をしている」が揺らぐ

離発着の間隔にゆとりがあれば生じる必要のない緊張感について、国交省航空
局はこう説明します。

「例えば、滑走路停止線の前で止まるという管制指示が出されているのであれ
ば、そこで止まっているということを前提に置いた上で、ほかの航空機に指示
をする――ある意味、信頼を原則として仕事をしている」

管制の指示は守られることが前提ですが、今回のように結果的に指示が守られ
なかった場合に事故の発生を防ぐソフト面のフェイルセーフについて、航空局
はどう考えているのでしょうか。

「誤った挙動があれば、周りの監視の中で関係者において気付く、システム的
に検知することで事故につながらないようにするということが安全策として
考えられる」

そこで、冒頭の「滑走路占有監視支援機能」に戻ります。5日の夕方、斉藤鉄
夫国交相は会見で次のように話しました。

「航空の信頼回復を図ることは大きな使命のひとつと考えており、総力を挙げ
て空の安心安全対策に取り組む。このため羽田空港で明日(6日)より、滑走
路への誤進入を常時レーダー監視する人員の配置を行うこととし、これをはじ
めとする緊急対策を連休明けにも取りまとめて公表する」

斉藤氏のいうレーダー監視とは、まさしくこの「滑走路占有監視支援機能」の
ことです。羽田空港では常時約15人の管制官が、航空管制を担っています。
それぞれ離発着を判断するタワーコントロール、航空機を滑走路手前まで誘導
するグランドコントロールなどの役割がありますが、そうした管制指示に対す
る“ヒューマンエラーをチェックする管制官”が初めて専任されることになっ
たのです。しかし、羽田空港には4つの滑走路があり、当面はこの中から選ぶ
ことになります。人員配置は簡単ではありません。

この緊急対応について斉藤氏は、あくまで現状できることを示すもので、事故
の原因究明は運輸安全委員会の調査と警視庁の捜査で明らかになることを強調
します。

「滑走路占有監視支援機能」を備えた空港は羽田のほかにも、新千歳、成田、
中部、関西、福岡、那覇にあります。これらの空港での支援機能の活用はぞれ
ぞれの管制官に委ねられています。航空管制を含むフェイルセーフの議論は始
まったばかりです。

Writer: 中島みなみ(記者)
(NEWS PICS)

◆解説

新年早々、重大災害(一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した
災害)が発生してしまいました。

毎日のようにテレビなどで報道される羽田滑走路事故では、「スイスチーズ
モデル」を何度も聞く機会がありました。私たちの分野の専門用語が一般的に
使われることは珍しいことですね。

次のいずれかの防御で事故は回避できていたのに、いずれのチーズの穴もすり
抜けて事故に至ってしまったことを指しています。

・海上保安庁機が停止線C5で止まらなかったこと(機長、副操縦士)
・C5の停止線灯(ストップバーライト)は、航空機の誤進入を防ぐ目的で設置
されているが、事故当時は工事中で使用できなかったこと
・海上保安庁機が停止線C5で止まらなかったことを管制官が見逃していたこと
・滑走路占有監視支援機能により管制官の前にあるモニター画面の一つで滑走
路全体が黄色で点滅し、航空機も赤く表示されていたのを管制官が見逃してい
たこと
・結果として海上保安庁機がC滑走路上に40秒停止していたのを管制官が見逃
していたこと
・JAL機の機長も副操縦士も海上保安庁機を検出できず、ゴーアラウンドでき
なかったこと

簡単に言うといくつかのミスが重なって事故に至ったことをスイスチーズで
表現しています。

いずれにしても、運輸安全委員会の事故調査が待たれます。

★「スイスチーズモデルの真実」について「ESHエキスパート」で解説してい
ます!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める

◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

今日を楽しく頑張ろう!

■新着情報

・安衛則及びボイラ則の一部改正

・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画

化学物質管理者が知るべき自律的管理(法改正対応)の3つの誤解
https://youtu.be/apt8HXHwpQs

羽田空港JAL機衝突・炎上、全員脱出の勝因、学ぶべき乗客の対応
https://youtu.be/i6JmHNs2qXs

■特集:羽田滑走路事故の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 6件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 16件

 

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

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