長時間労働なく「労災」認定 50代男性が自殺、上司の強い叱責など中程度のストレス3つ重なり…
■■ ESHの解決策
■■—————————————————————–
2023.12.20 No.581
企業の環境＆安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
——————————————————————-
◆ご挨拶
本年のメルマガは今号が最後の発行となります。今年も一年ご愛読いただき
有難うございました。
多くの読者の皆様に支えられメルマガを継続できたことに感謝しております。
来年も読者の皆様のお役に立つ情報をお届けすべく、誠心誠意努力する所存で
すので、より一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
なお、新年のメルマガは、1月10日（水）、24日（水）の発行となります。
師走でご繁多の毎日が続くことと存じますが、ご自愛のうえ良い新年を迎えら
れることをお祈りいたします。
編集長 黒崎由行
———————————————————————-
◆オンラインセミナー「安全衛生エキスパート」録画受講のお知らせ
「労働安全衛生を体系的に学ぶ機会はないか？」というご要望にお応えし、
弊社では、2021年4月より6コースのオンラインセミナーを開催し、企業内安全
衛生担当者、コンサルタント、ISO審査員など多くの方々に受講いただき、
高いご満足を頂戴しております。
詳細は次のサイトをご覧ください。
https://esh.hp.peraichi.com/2022seminar
———————————————————————-
■環境不祥事の教訓
◆明和町 薬品メーカー排水の水銀 火事で流出の薬品などが原因／群馬 (12/
7)
明和町にある薬品メーカーの群馬工場からの排水をめぐっては、ことし10月下
旬、利根川の支流の新堀川に流れ込む地点で、基準値を超える水銀やカドミウ
ムなどが検出されていた。
その後、排水を止めて県が下流など複数の地点で行った水質検査では、水銀を
はじめとするすべての物質が基準値を下回り、周辺住民への健康被害もなかっ
たという。
そして県が先月、立ち入り検査をした結果、9月に工場にある倉庫で起きた
火事で、薬品などが流出したことが原因だったと結論づけた。
この倉庫について薬品メーカーは、水銀などが検出された直後の取材に対して、
水銀を使った機器などを保管していたことを明らかにしていた。
一方、県は水質が基準値を下回っていることから、「現状では河川に問題な
い」としている。
県は薬品メーカーに対して、排水経路の洗浄や、倉庫の残骸や燃え残った薬品
の撤去などをすでに指導していて、終了するまでは排水の停止を続けるという。
（NHK NEWS WEB）
◆解説
火災に起因して化学物質が排水に流出することは、多くの組織が教訓とすべき
事象です。
その理由は、大多数の組織は火災の際に消火排水をケアすることを考えていな
いからです。
EHS監査やコンプライアンスなどで、自衛消防組織に関連して消火排水対応を
質問しても、明確な回答が得られないのです。
消火排水には、事業所内の様々なものが含有し流れ出る可能性があり、誰かが
監視し、異常があれば対処しなければならないのです。
自衛消防組織にユーティリティ施設を管理する機能はあるでしょうか？
そして、その中に消火排水をケアする役割はあるでしょうか？
是非とも見直すことを期待します。
★消火排水を適切に管理するための事前準備について「ESHエキスパート」で
解説しています！
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関で審査員教育用資料として
採用されています。
——————————————————————–
■労働災害の真相
◆長時間労働なく「労災」認定 50代男性が自殺、上司の強い叱責など中程度
のストレス3つ重なり… (12/14)
東京都内で2021年、50代の男性が自殺したことについて、労働基準監督署は、
長時間労働はないものの、上司からの強い叱責など中程度のストレスが3つ
重なり、強いストレスとなったなどとして、労災と認定した。長時間労働が
一切ないケースで労災と認定されるのは極めて珍しいという。
東京都内に住む当時50代の男性が2021年2月末に自殺した。弁護士によると、
男性は建設関連の業界団体の本部に20年ほど勤務し、自殺した当時、事務局長
を務めていた。
この団体では、会員企業などから集める年会費を下げるかどうかをめぐって、
団体の存続にかかわるような大きな対立があり、会費問題を担当していた上司
の突然の辞任をきっかけに、男性は、上司が行っていた予算や経理の仕事を
引き継ぎもなく急に担った上、会費問題も担当することになったという。
そして男性は「値下げ」派が大多数を占める全体の会合で、「会費の据え置
き」について謝罪、説明をする予定だったという。
こうした中、弁護士によると、2021年2月には、会費値下げの反対派と賛成派
の双方からとがめられ、男性が信頼できる同僚に送ったLINEには「上司から
怒鳴り散らされ、挙げ句の果てにはお前はクビになるぞと言われる次第です」
と書かれていた。そして上司や同僚から「代わりは百といる」「左遷」
「（会費値上げで組織が）崩壊したらどうすんだ。（男性の名前）辞めるしか
ない」と叱責されたという。
精神的に追い詰められた男性は、下痢や嘔吐が続いて、早退と欠勤が続くよう
になり、妻によると全く眠れない状態となり、2月末に自殺したという。
遺族が2022年11月に労災を申請、今年12月6日に品川労働基準監督署により
労災と認定された。
弁護士によると、労災認定の根拠としては、死亡直前に「気分（感情）障害」
（うつ病など）を発病したことに加えて、厚生労働省が定めるストレス強度
「強」があったと認められたという。以下のような、ストレス強度「中」で
ある3つのことがあり、総合的にストレス強度が「強」と認定されたという。
1）上司の不在で担当外の業務を行うこととなった
2）上司からの強い叱責など
3）同僚からの非難など
担当弁護士は、「この男性は長時間労働はしていなかった。通常は、長時間
労働と激しい叱責などがセットで行われ、労災認定されることが多い中、長時
間労働が一切ないケースで労災と認められるのは極めて珍しい、同様の事例で
苦しむ多くの人々に救済の幅を広げる画期的な意義を持つ」と話している。
（日テレNEWS）
◆解説
担当弁護士のコメントの中で、「長時間労働が一切ないケースで労災と認めら
れるのは極めて珍しい」というのは、確かにそうですが認識しておりませんで
した。長時間労働がなくても強度のストレスがあればメンタル疾患に至ること
は、十分に考えられることです。
本件においては、上司のみならず”同僚からの非難”もあったとのことで、
救いがありませんよね。これでは学校の集団いじめと全く同様の構図で、
「企業」という大人の集団の対応としては残念なものです。
「ミスに優しく、違反に厳しく」という格言がありますが、多くの組織では
これが逆になっています。
私は、安全文化の高い組織は、人に優しい組織だと思います。ブラッドリー
カーブの「相互啓発型」組織は、労働災害リスクのみならず部下や同僚に気遣
いができる組織です。
愛の反対語は無関心
部下や同僚に無関心になることなく、お互いを気遣う優しい組織が増えること
を願います。
★厚生労働省が2023年9月に改正した「心理的負荷による精神障害の認定基
準」について、「ESHエキスパート」でご紹介しています！
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
——————————————————————-
★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める
◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活！今日の言霊
それでも、私は憎まない
■新着情報
・要注意！ 特定化学物質の掲示義務など
・YouTube「安全衛生アカデミー」新着動画
機械関連で最も多くの処分を受けている労働安全衛生法の条文は？
https://youtu.be/QLg654vf_Ko
高所からの墜落で最も多くの処分を受けている労働安全衛生法の条文は？
https://youtu.be/YxubebQtmo8
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 4件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 25件
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
——————————————————————–
本メルマガは、「ESHエキスパート」のダイジェスト版をお届けしています。
（２回／月：第一、第三水曜日発行）
■ 『ESHエキスパート』の詳細及びお申込みはこちらから
→ https://www.esh.co.jp/expert.html
——————————————————————–
★このメールマガジンを皆様にとってより良いものとするために、読者の皆様
のご意見やご要望をお待ちしております。是非ともお寄せください。
◇ info@esh.co.jp まで
——————————————————————–
★★★読者の皆様へESHデータバンクのご案内★★★
環境、安全衛生、ISO14001、ISO45001に関する有料の資料集サイト「ESHデー
タバンク」のサービス、好評提供中です。
——————————————————————–
【発行元】
環境ワークス株式会社
https://www.esh.co.jp
発行責任者 黒崎
★このメールマガジン転送はOKですが
掲載された記事の内容を許可なく転載する
ことを禁じます。問い合わせ下さい。
Copyright 2009 環境ワークス株式会社
——————————————————————–
