2人死傷爆発 書類送検 18年、茨城・神栖の工場 社員と現場監督
■■ ESHの解決策
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2021.8.4 No.524
企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン
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◆ご挨拶
連日うだるような暑さが続いています。一日中エアコンの効いた屋内にいて
何となく身体がだるい気もしますが、夜はゆっくり熟睡でき、エアコンの
ありがたさをしみじみと感じています。
皆様ワクチン接種はお済みでしょうか?私は先週ようやく接種券が届き、
8月下旬に予約することができました。ワクチン接種率が思うように伸びない
状況下で感染者数は増加の一途をたどっています。コロナ禍で迎える2回目の
夏休みも帰省や旅行はお預けとなりそうです。
皆様も引き続き熱中症とコロナ対策に努めてお元気でお過ごしください。
(門)
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◆オンラインセミナー「事故調査・根本分析」
弊社では、安全衛生アカデミー「オンラインOHSエキスパート養成コース」を
開講しております。6回シリーズで、労働安全衛生の”エキスパート”として
力量を向上していただくアカデミーです。
受講後アンケートの結果、「大いに満足」、「満足」(6段階評価の6と5)が
第1回目100%、第2回目94%、第3回目94%、第4回目92%と毎回高い満足度を頂戴
しております。
第5回は、事故調査・根本原因分析がテーマです。
・8/27(金)「オンラインセミナー:事故調査・根本原因分析」
欧米では当たり前の事故調査教育ですが、国内では事故調査に関するセミナー
はないと言われています。インタビューや現地調査のポイント、根本原因分析
について学んでいただきます。
単発でもシリーズでも受講可能です。当日のご都合が合わない場合は動画で
視聴することもできます。
詳細は次のサイトをご覧ください。
https://peraichi.com/landing_pages/view/gfrsv
ご参加をお待ちしております。
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◆安全衛生関係者のための労働基準法オンラインセミナー
このたび、弊社では、安全衛生関係者(企業の安全衛生担当者、審査員/監査
員)のための「労働基準法」オンラインセミナーを開催いたします。
開催の背景には次の2つの理由があります。
・「衛生面」の重みが増し、労働基準法の知識が必要となっていること
・CSRやSDGsに仕事の幅を拡げる機会を作るため
「衛生面だから人事部にお任せ」、「EHSは得意だけど労働面は苦手」という
方々に自信を持ってお薦めするセミナーです。
是非とも多くの皆様のご参加をお待ちしております。
安全衛生関係者のための労働基準法オンラインセミナー
日時:2021年9月17日(金)13:30~16:30
場所:オンラインTeams
内容:
13:30-13:45 労働安全衛生とCSR 【講師:黒崎】
13:45-15:45 労働基準法の解説(関連法令を含む) 【講師:岸】
・判例、厚生労働省の通達を押さえた労働基準法の理解
・働き方改革による法改正のポイント
・同一労働同一賃金など今後の方向性 など
15:45-16:30 フリーディスカッション 【ご参加者+岸+黒崎】
フリーディスカッションは、労働基準法やCSR監査などについて事前や当日
のご参加者の皆様からのご質問にお答えし理解を深めていただきます。
詳細は次のサイトをご覧ください。
https://peraichi.com/landing_pages/view/aeyuz
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■環境不祥事の教訓
◆井戸水から環境基準超えの有害物質「トリクロロエチレン」 飲用回避呼び
掛け 千葉市幕張町(7/31)
千葉市は30日、花見川区幕張町4付近の2カ所の井戸で、発がん性が指摘される
化学物質「トリクロロエチレン」が環境基準値の最大760倍検出されたと発表
した。井戸水の飲用を控えるよう呼び掛けるとともに、週明けから井戸の半径
500メートル以内で水質調査を行う。
市によると、同所の開発を検討している事業者が幕張町4と武石町1の2カ所の
既設の井戸を調査したところ、幕張町4の井戸からは基準の250倍、武石町1の
井戸からは基準の760倍のトリクロロエチレンを検出。テトラクロロエチレン
などの化学物質も基準値を上回っており、27日に市へ報告があった。
トリクロロエチレンは工業用の洗浄剤などに用いられており、一定以上の使用
がある場合は法律に基づき市への届け出が必要。検出した井戸は京葉道路武石
インターチェンジから約250メートル付近にあり、市環境規制課は「周辺には
過去に工場などがあったようだが、トリクロロエチレンを使用していたかどう
かは不明」としている。現在は駐車場や野菜畑になっている。
同課は、該当する井戸の半径500メートル以内に所在する住宅など約230軒を個
別訪問し、井戸水の使用状況や水質の調査を実施。農地への影響も調べる。
「来週から速やかに調査する。しばらくは井戸水の飲用を控えてほしい」と呼
び掛けている。(千葉日報)
◆解説
約30年前に、日本で最初にトリクロロエチレンによる土壌・地下水汚染が発見
され社会問題になったのが千葉県君津市の工場でした。
その後、土壌汚染対策法が施行されるなど、官民ともに対策を講じてきました
が、まだまだ潜在している汚染は数多いことがわかるニュースです。
現場周辺の開発を検討している事業者が6月に既設の井戸を調査したところ
判明したとのことで、たまたま既設の井戸でサンプリングしただけですので、
汚染源(ホットスポット)を探す必要があります。
7.6ミリグラムパーリットルという値は、千葉市では過去最高の数値だそうで
すが、汚染源は相当に高いことが予想されます。
開発を検討中の事業者が自主的に調査したものですが、これはデューデリジェ
ンスの重要性を示すものです。
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、投資を行うにあたって、投資
対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指します。
DDという略称が使われることもあります。
DDをせずに汚染された土地を購入することは企業にとって大きな負債を抱える
ことになります。
しかし、土壌・地下水汚染はDDの一つの要素に過ぎません。たとえば、企業買
収時に環境安全衛生面において法令違反のある企業を買収し、その対策に膨大
な費用を要する事例もあります。
ビジネスがグローバル化し流動化する今日においては、事業所の売却も珍しい
ことではありません。そのような場合にも土壌・地下水汚染や法令違反など
EHS上の問題点を抱えていると安く買いたたかれたり売却できないこともあり
得ます。
普段からDDの内容を視野に入れてEHSを管理することが重要です。
★環境監査員/審査員が確認すべき土壌・地下水汚染防止のための重要なポイ
ントについて「ESHエキスパート」で解説しています!
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☆【ESHエキスパート】は大手ISO審査機関で審査員教育用資料として
採用されています。
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■労働災害の真相
◆2人死傷爆発 書類送検 18年、茨城・神栖の工場 社員と現場監督 (7/21)
茨城県神栖市東深芝の合成樹脂製造会社「DIC EP」鹿島工場で2018年9月、可
燃物貯蔵タンクが爆発し配管工2人が死傷した事故で、神栖署と県警捜査1課の
合同捜査班は20日、業務上過失致死傷の疑いで、火気使用立会者で同社員、男
性(44)、現場監督をしていた工事委託先社員、男性(32)の2人を水戸地検土浦
支部に書類送致した。
書類送検容疑は18年9月6日午後1時47分ごろ、工場の屋外にある可燃性薬品
「パラジクロロベンゼン」の円柱型貯蔵タンク(直径約5.6メートル、高さ
約5.86メートル)上で、男性2人が、屋根部分の配管補修中にタンクが爆発し、
作業を中止させるなど危険回避の指示を怠り、2人を死傷させた疑い。いずれ
も容疑をおおむね認めている。
配管工2人のうち千葉県銚子市の男性=当時(68)=が吹き飛ばされて地上に落下
し、心破裂で死亡。神栖市の男性(51)は肋骨(ろっこつ)を折るなど全治約3年
のけがを負い、現在も治療している。
同課によると、死傷した2人は金具を屋根に直接溶接する予定外の作業をして
いた。この時に生じた熱でタンクが爆発したとみられる。県警などの再現実験
では、溶接により薬品の自然発火温度を超える熱が内部に生じていた。
同社の親会社、DICの広報担当者は「今後も捜査に真摯(しんし)に対応し、
亡くなった方に改めて哀悼を示したい」と話した。
(茨城新聞)
◆解説
パラジクロロベンゼンの引火点は66℃です。従って、常温下で直ちに引火爆発
するものではありません。
金具を屋根に直接溶接する時に生じた熱でタンクが爆発したとみられ、「再現
実験では、溶接により薬品の自然発火温度を超える熱が内部に生じていた」と
あるのですが、大きなタンクの中でパラジクロロベンゼンの自然発火温度
413℃を超えることはあまり考えられません。
以上のような技術的に難しい状況であったため、災害発生から書類送検まで
3年近くを要したのでしょう。
いずれにしても化学物質が入っているタンクを直に溶接することは、化学物質
を取り扱う企業としては非常識であることは間違いありません。
私たちが教訓とすべきは、次の記事にあります。
男性現場監督が、可燃性の化学物質「パラジクロロベンゼン」が入ったタンク
の中身を抜いたか確認せずに溶接作業を行わせた。
作業の立ち会いを担当していた男性社員も、作業内容を確認しないまま続行
させたとしている。
(毎日新聞より抜粋)
警察は工事業者の監督者と合成樹脂製造会社の立会者が「必要な注意を怠っ
た」ことで送検したのです。
どのような事業所内でも工事が行われることがありますが、その際の工事の
立ち会いを適切にしなければならないということです。
本件のような火災・爆発はもちろん、墜落・転落災害、先般お伝えした高圧線
による感電災害、機械へのはさまれ巻き込まれ災害、化学物質の被液など、
工事業者の重篤な災害は後を絶ちません。
ISO 45001では、工事業者を含む請負者の業務に対してもリスクアセスメント
を求めています。また、立会者には力量が必要です。
工事業者の命を守り、また自身や企業の法的責任を回避するために工事の適切
な立ち会いを実施することを期待します。
この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でも
お伝えしています。どうぞご覧ください。
★欧米のコントラクター(請負者)マネジメントプログラムを「ESHエキス
パート」でご紹介しています!
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
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★環境・安全衛生のリスク察知感性と解決策の提示力を高める
◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介
■復活!今日の言霊
報われない努力もある
■新着情報
令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果
■環境不祥事の教訓
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■労働災害の真相
より詳細な解説とベストプラクティス紹介
■環境事故・ニュースレポート
全国の事故・事件情報 5件
■労働災害レポート
全国の労働災害・書類送検情報 17件
【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html
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