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NO.517

CO2放出の直前、消火設備が熱と煙検知 火災誤認か 駐車場事故

■■ ESHの解決策
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2021.4.21 No.517

企業の環境&安全衛生、ISO14001、ISO45001の担当者、管理責任者を
支援するサポーターメールマガジン

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◆ご挨拶

依然として新型コロナ収束の兆しが見えぬまま、間もなく2度目のゴールデン
ウイークを迎えます。政府は東京都、大阪府、兵庫県を対象に緊急事態宣言を
発令する方針を固めました。

個人レベルではマスク、手洗い、うがい、密を避けるなど、大部分の方は努力
を続けていると思うのですが、思うように感染者数の減少につながらず、これ
以上どうすればいいのか?といった諦めに似た気持ちも芽生えているのではな
いでしょうか。

オーダーメイドの旅を提供する旅工房が行なったGWの過ごし方に関する調査
では、約8割の方が「自宅で過ごす」と回答しています。GWが感染者数拡大
の歯止めとなることを願います。(門)

☆発行日のお知らせ
GW期間と重なるため、5月の発行日は次のとおりとなります。また、それに
伴い6月の発行日も変更させていただきます。予めご了承ください。

・5月12日(水)・26日(水)
・6月9日(水)・23日(水)

 

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◆オンラインセミナーのご案内 「まだ間に合います!」

弊社では、今月より安全衛生アカデミー「オンラインOHSエキスパート養成
コース」を開講いたします。6回シリーズで、労働安全衛生の”エキスパー
ト”として力量を向上していただくアカデミーです。

もちろん、単発でも受講可能です。

初回4/23(金)「オンラインセミナー:リスクアセスメントの改善」

RAは、「危険だと思ったところだけ点数付け手法」では、労働災害防止に寄与
しません。

これまで多くの企業に対して提供し、高い満足度をいただいたRA研修をオンラ
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4/23もまだ間に合います。ご参加をお待ちしております。

 

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■環境不祥事の教訓

◆郡山の飲食店爆発、保安機関に行政指導 点検期間4年超 (4/11)

昨年7月に郡山市の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜」でガス爆発が起き、1人が死
亡19人がけがをした事故で、県は9日、店のガス設備の点検を担っていた保安
機関「協同組合郡山エルピーガス保安管理センター」に対し、厳重注意の行政
指導をした。

県によると、昨年12月の立ち入り検査で、法令で4年以内に1回実施するよう求
められている設備の点検が、4年を超えて行われていたことが確認された。セ
ンターには、5月10日までに改善措置を講じて報告するよう求めた。

また、県は店内のガス配管の設置状況に法令違反となるような問題があったの
に、指導などを怠っていたとして、センターと店にプロパンガスを供給してい
た伊東石油(同市)に改善を求めた。店で使用していた種類のガス管は、液化
石油ガス法で、コンクリート面から離して設置するよう求められていたが、店
ではコンクリート面に触れたままの状態だったという。

捜査関係者によると、厨房(ちゅうぼう)内のガス管の一部が腐食し、県警は
その部分からガスが漏れ、爆発につながった可能性があるとみて調べている。
(朝日新聞)

◆解説

死者1名、負傷者19名、304棟で窓ガラスや外壁の破損など広範囲に被害をもた
らした爆発事故の原因の一つが保安検査にあったということです。

この爆発事故では、ガス管の腐食が原因であったことが確実視されています。

通称「液化石油ガス法」では、4年に1回以上の頻度で専門家による点検・調査
を実施することになっています。

【液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律】
(保安業務を行う義務)
第二十七条 液化石油ガス販売事業者は、その販売契約を締結している一般消
費者等について次に掲げる業務(以下「保安業務」という。)を行わなければ
ならない。

(保安機関の業務等)
第三十四条 保安機関は、保安業務を行うべきときは、経済産業省令で定める
基準に従つて、その保安業務を行わなければならない。ただし、供給設備又は
消費設備の設置の場所その他保安業務を行うべき場所に立ち入ることにつき、
その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。
【液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則】
(供給設備の点検の方法)
第三十六条 法第二十七条第一項第一号に規定する保安業務に係る法第三十四
条第一項の経済産業省令で定める基準は次のとおりとする。

→ 供給開始時及び四年に一回以上

液化石油ガス販売事業者と保安機関が、県より改善措置を講じて報告するよう
求められたものです。

しかし、問題は4年に1回以上の点検期間もさることながら、2019年12月の検査
時に、配管の状態や腐食防止措置に問題はないと報告され、また、点検時に実
施した圧力検査でも異常はなく、ガス漏れはないとしていたことです。

経産省産業保安グループガス安全室は、「19年12月の点検後に腐食が急速に進
んだとは考えにくい。点検時に腐食を見つけられなかった可能性がある。その
後、さらに腐食が進み、生じた亀裂からガス漏れしたのではないか」と点検結
果を疑問視しています。(日経クロステック2021.01.13より)

疑問視しても確証は得られないため点検時期が4年を超えていたことを採り上
げて指導したのだと考えられます。

点検や検査を実施する多くの人々が教訓とすべき事例だと考えます。

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■労働災害の真相

◆CO2放出の直前、消火設備が熱と煙検知 火災誤認か 駐車場事故(4/19)

東京都新宿区下落合4のマンション地下駐車場内で15日、天井の張り替え工事
中に二酸化炭素(CO2)中毒で男性作業員4人が亡くなった事故で、死亡の原因
となった消火設備が二酸化炭素を放出する直前、熱と煙を検知していたことが
捜査関係者への取材で判明した。張り替え工事中に熱や煙が出ていると設備が
誤って認識した可能性があり、警視庁捜査1課が詳しい経緯を調べている。

捜査関係者によると、現場の地下駐車場の天井には検知器が計12カ所(熱8カ
所、煙4カ所)あった。捜査1課が設備を調べたところ、熱に続いて煙も検知し
たため、火災が発生したと誤認して、二酸化炭素が放出されたとみられる。

駐車場内には熱や煙を発生させるようなものはなかったが、天井板の交換には
検知器を外す必要があり、工事中は複数の検知器が配線につながったまま、つ
り下がっている状態だった。通常よりも誤検知しやすい状態だった可能性があ
る。

この設備は二酸化炭素を放出して空間内の酸素濃度を下げ、火が燃え広がるの
を防ぐ仕組みになっていた。

設備を起動させるには手動で地上にあるボタンを押す方法もあるが、押された
形跡はなかった。設備の電源を切れば、誤検知を防ぐことができたとみられる
が、作業員らは電源が入ったまま作業をしていた。

電源の切り替えは通常、二酸化炭素消火設備を取り扱う消防設備士などの資格
者が行うが、今回の事故では総務省消防庁の通知に反して配置されていなかっ
たという。
(毎日新聞)

◆解説

テレビニュースなどでも大きく報じられましたので、ご存じの方も多いかと存
じます。

数多くの情報が伝えられていますが、主要な情報を整理すると次のとおりです。

・事故が起きた駐車場は人が車を降りた後、車だけを地下に収納するタイプ。
普段人が入ることはなく、作業員はハシゴを使って出入りしていた。高さ1.8
メートルの狭い空間であった。

・地下駐車場の天井には検知器が計12カ所(熱8カ所、煙4カ所)あった。
二酸化炭素を噴出する装置は、駐車場内の壁に8か所に設置されていて、駐車
場の中からは、止めることが出来ない。

・老朽化した天井の石こうボードを張り替え中であった。

・張り替え作業は、茨城県の建設会社(従業員数378人、前期売上305億円)が
元請けで、死亡した4人は下請けの作業員だった。

・現場責任者は、数年前にも同じマンションで同様の工事をしたが「CO2で事
故が起きる想定はなく、危険性はないと認識していた」と話している。

・現場責任者の男性は地上にいた。現場責任者は、警視庁に「事故当日の朝礼
で、天井に付いている消火設備に触れないよう作業員に指導した」と話した。

・消防設備士は工事に立ち会っていなかった。

・作業員らは、消火装置の電源を切らずに工事を行っていた。

・天井板の交換には検知器を外す必要があり、工事中は複数の検知器が配線に
つながったまま、つり下がっている状態だった。

・マンションの住民らによると、事故時には「消火剤を噴出します」と避難を
促すアナウンスが流れた。

・27歳から59歳の4人が死亡(うち2人は兄弟)、28歳の1人が意識不明の重体
となった。

・1人は、自力で脱出した。この30代の男性作業員は「火災報知機を取り外し
て作業していた」、「別の作業員がカバーをいったん取り外して戻すのを見
た」と説明した。

・警察官らが現場に到着した際、地下にある複数の火災報知機のカバーが外れ
ていた。

・消火設備が二酸化炭素を放出する直前、熱と煙を検知していた。

・司法解剖の結果、死因は二酸化炭素中毒だったと発表。

・警視庁捜査1課は20日午前、業務上過失致死傷容疑で、作業を請け負った建
設会社の東京本社(豊島区)など2カ所を家宅捜索した。

・同様の消火設備を巡っては、昨年12月に名古屋市中区のホテル地下駐車場、
今年1月には東京都港区のオフィスビル地下駐車場で、誤作動が原因とみられ
る死亡事故が発生していた。このときも2度にわたって総務省消防庁は消火設
備周辺で工事する際、資格者を立ち会わせるよう自治体などに通知していた。

・総務省消防庁は、二酸化炭素を放出する消火設備の誤作動による事故を防止
するため、設備付近で工事などを行う場合は詳しい担当者を立ち会わせ、消火
剤が誤って放出されない措置を講じるよう全国の消防機関に通知した。(4月
15日付)

閉鎖空間(密閉空間)で二酸化炭素が放出されれば窒息死に至ることは自明で
す。作業前に危険源である二酸化炭素が認識され、リスク管理策として感知器
の電源OFFやボンベのバルブ閉止が行われていれば4人もの尊い命が犠牲になら
ずに済みました。

下請として作業され犠牲となった方々に謹んでお悔やみ申し上げます。

この記事に関する解説は、YouTubeチャンネル「安全衛生アカデミー」でもお
伝えしています。どうぞご覧ください。

★この事故に対するベストプラクティスとして、米国OSHAのコンファインド・
スペース入場許可制度(Confined space entry permit)を「ESHエキスパー
ト」でご紹介しています!

【ESHエキスパート】 → https://www.esh.co.jp/expert.html

 

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◆本日発行「ESHエキスパート」の記事紹介

■復活!今日の言霊

焦らずに今やっていることを自分なりの方法で継続することが一番の近道

■新着情報

・2019年度(令和元年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

・改正電離放射線障害防止規則の施行

・ESHデータバンク追加資料のお知らせ(労働災害の書類送検事例(2020))

■環境不祥事の教訓

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■労働災害の真相

より詳細な解説とベストプラクティス紹介

■環境事故・ニュースレポート

全国の事故・事件情報 4件

■労働災害レポート

全国の労働災害・書類送検情報 18件

 

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https://www.esh.co.jp
発行責任者 黒崎

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